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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第9章 ☆アルコールぱにっく:山口




どこか焦点の合わない目で、月島と天草をぼーっと見詰める山口。その目の前で月島が手をヒラヒラと振ってみせる。


「ちょっと、どこ見てんの。一応、意識はあるみたいだね。耐性でもあるとか?とりあえずあっちの方で休んでたら、山ぐ…っ!?」

「ん~、つっきいぃぃぃい!」


何を思ったのか、突然山口は月島に抱き付いた。天草は目を丸くし、キャーッと悲鳴を上げる。その悲鳴に、周りもざわめく。

そして、その事態に内心喜ぶ猫が1匹。黒のトサカはコソコソとスマホを構え、カシャアカシャアとシャッター、そして録画する。

それに気付いた月島が驚き、抵抗を緩めた一瞬の虚を付いて、山口はもっと強く抱き付く。


「バカ、山口っ、離れろって!」

「ダメだよぉ、ツッキーは細いんだからもっとお肉食べないと……ほら、あーん」

「むぐ……っ!?」


問答無用で月島の口に肉を投入する山口。ほらほらとぐいぐい押し込むので、月島は酸欠寸前である。慌てた天草は月島を山口からなんとか引っぺがす。


『月島君っ、大丈夫!?』

「水、貰えるかな……喉、つまりそ…」


げほげほとむせる月島に水を渡したり背中を擦ってやる天草。その姿をよく思わない者が、じーっと視線を飛ばす。

その主、山口はゆらりと動くと、今度は天草に後ろからぎゅむっと抱き付いた。


『きゃあぁっ、山口君っ!?』

「星菜…どうして星菜はそんなにも可愛いの?俺、我慢が利かなくなっちゃうよ」

『やっ、山口君……っ///』


後ろから抱き付かれている、プラス身長差があり、ちょうど耳元で山口が喋る。酔ってるからなのか、いつものぽわんとした山口からは想像できないような色っぽい声が天草の鼓膜を揺らす。

う、わぁっ、反則だよね、これ。くらりと倒れそうになるのを堪え、天草はくるっと反転し、山口の肩を両手で押し返した。


『山口君、落ち着いて、ね?』

「落ち着いてるよ。あぁもう、ホント、星菜ってば可愛すぎるや」


そう言うと、天草の手を肩から払い、山口はトンッと押した。不意を突かれた天草は重力に引かれ、後ろ向きに芝生にそのまま倒れ……


どさり、山口がその小さな体に覆い被さった。


 
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