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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第9章 ☆アルコールぱにっく:山口




小さく嗚咽を洩らし、涙を零す天草。頬を伝う涙を拭ってやりながらも、山口は感動していた。

俺のことを彼女がこんなに想ってくれていたなんて。ましてや、やきもちなんて可愛すぎじゃあるまいか。星菜は嫌われると思っていたようだが、そんなことない。むしろ嬉しいくらいなのだ。

涙を手の甲でぐしぐしと拭うと、天草は潤んだ目で山口を見詰める。


『忠、君…っ私のこと、どう思う……?』


今、俺がするべきこと。それは彼女の、星菜の涙を止めること。安心させること。大好きを、伝えることだ。

山口はそっと、天草を抱き寄せ、背中に手を回し、ぎゅうっと抱きしめた。それに応えるように、天草も山口の背中に腕を回す。

うっとりと目を閉じてあったかぃ…と呟いた天草。だが小さい声だったからか山口は気付かず、そして羞恥心がどこかへぶっ飛んだ山口は、真っ赤になりながら叫ぶ。


「好き、大好きだよ、星菜っ!他の女の子とかどうでもいい!星菜が隣にいてくれれば、笑ってくれればそれでいい!本当に、大好きなんだ!何回だって言ってやる、俺は星菜が、大好きだっ!!!」


怒濤の勢いで気持ちをぶつける山口。後から込み上げた恥ずかしさにぎゅっと目を瞑り、天草の反応を待つ。が、いつまで経っても返事がない。


「星菜……あ、れ………?」


ずるり、と天草の手が背中からずり落ちる。山口に抱きしめられたまま、天草はすーすーと寝息を立てていた。


「ね、寝てる……」

「「「寝てるんかいっ!!!」」」


事態を見守っていたギャラリー諸君も、こればっかりはずっこけた。のほほんとした空気の中、身動きとれずに赤面する山口。賑やかな笑い声が、2人を包んだのでした。

その後、目を覚ました天草の目に飛び込んできたもの。それは、黒尾が隠し撮りしていた自身の醜態。苦笑いの山口に土下座。

恥ずかしさで縮こまる天草の耳元で、山口がぽそりと呟く。一気に耳まで赤くなった天草を、山口は笑顔で抱きしめたとさ。





「俺のこと、すっごい愛してくれるって分かったよ。だからさ、今度はシラフの時にたくさん言ってほしいなぁ。星菜?」





The End.
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