Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第9章 ☆アルコールぱにっく:山口
『忠君大好き。だぁいすきだよ~』
悩殺級の笑顔で愛を連呼する天草。山口の内心は、もう盆と正月が一緒に来たようで、嬉しいやら恥ずかしいやらで大忙し。
両手で顔を覆い、真っ赤なのを隠している山口。そろりと指の間を広げて見ると、じっと見上げる天草の姿。からの追い討ち。
『忠君は私のこと、大好き?』
うっ、と言葉を詰まらせる山口。いつもなら大好きだよ、と言ってあげる。だが今は周りに人がいすぎるのだ。ツッキーだけならともかく、他校の人もいっぱいだし…
狼狽える山口に、天草はしゅんとしょげた様子。その目は悲しそうである。
『ねぇ~、言ってよぉ~』
まるでだだっ子のようなセリフ。だが、その声の裏側にはっきりと悲しさと寂しさがあるのを、山口は感じた。その証拠に、つぶらな目にはうっすらと水の膜がある。
ねぇ言ってよ、忠君おねがい、そう何度も訴える天草。しかし山口の中では、恥ずかしさが言いたい気持ちの上をゆく。
そうこうしているうちに、段々と涙声になっていく天草。周りは周りで不穏な空気を感じたのか、心配している様子。
「どうしたの、星菜?」
意を決した山口が問うと、天草は俯いて、それからこう呟いた。
『……だって忠君、最近モテるんだもん』
「そっ、そんなことないよ!俺なんかよりもツッキーの方が全然モテてる…」
「山口うるさい」
「ごめんツッキー!」
そんなやり取りも、天草はスルー。
『忠君、フローター頑張ってるでしょ。それ見てカッコいいって言う子増えてるもん。この前だって告白されてたでしょ!?』
「それはっ、彼女がいるからってちゃんと断ってるよ!それに、報告したら星菜だってモテモテだねって笑ってたじゃん!」
『だって!』
そこで言葉を区切る天草。そして今にも溢れそうな雫を湛え、キッと山口を見る。
『そうでもしないと嫉妬で押し潰れそうだったんだもん!どろどろした真っ黒な気持ちが溢れるんだもん!ほんとは、私のものだからって、言いたい…でも、忠君に嫌われたくなかった。重いって、思われたく、』
なかったの……その一言と同時に、天草の目からはポロリと雫が零れた