Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第9章 ☆アルコールぱにっく:山口
『言わないとスリスリ攻撃だぞぉ~っ』
「えっ、ちょ……う、うわっ!?」
言うが早い、天草は自身の頬を山口の頬にスリスリとすり寄せる。山口はえっ、とかちょっと、とか途切れ途切れに言うが、天草の肩を押す手に力はない。
『ふわぁあ、忠君のほっぺた気持ちぃ~』
「いや、気持ちいいのは天草さんのほっぺだから……っじゃないよってば!」
真っ赤になって慌てる山口。ギャラリーの中には面白がって録画を回す黒尾もいるが、全く気付いていない。月島はチラリと黒猫を横目で窺ったが、特に止める気もないようだ。
肩を押し返す山口。それに負けない力で天草は山口にスリスリすり寄る。
「ちょっ、ホントにやめて、天草さん!待っ、待ってよ、恥ずかしいから!」
『星菜って呼ばないとやめな~い』
「分かった、呼ぶ、呼ぶからっ!星菜っ!、星菜星菜!!」
『はぁ~い!』
元気なお返事のできる子です。と通知表に書かれそうな返事と挙手。スリスリ攻撃が止んだことにホッとした山口。だが天草は山口の首に腕を回し、抱き付いたままだ。
さっき飲んだもの、あれはお茶ではなくお酒だったのだろうとなんとなく気付いた山口。だが、それが分かったところでどうしようもないのだ。酔っ払いだし。
どうしたもんか、とうんうん悩んでいると、天草が山口を呼んだ。
『忠君、忠君っ』
「ん、何?」
『ふふ、呼んだだけだよ~んっ!』
にこぉっ、という笑顔は、さながら天使のようだと山口は思う。可愛いなぁ、ずっとこのままでいいかも。そう思った山口に、彼女いなかった歴=年齢の先輩の視線が刺さる。
そして気付く。しまった、今ってBBQ!ヤバいヤバい、どうにかしないと。現状を再確認した山口を、またしても天草が呼ぶ。
『た~だ~し~君っ!』
「今度は何?」
また呼んだだけだろうな。そう思った山口に、本日2度目の爆弾が投下される。
『大好き!』
あぁ、俺、今なら死ねる。
本気でそう思った、山口忠君、15歳だとか。