Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第1章 鈍感少女の青春記録Ⅰ《青葉城西》
「テメェ、今までどこにいたゴラァッ!?」
「お母さんっ、暴力反対!」
「誰がお母さんだボゲェ!」
「いっ、痛ァッ!?」
えぇと、なんなんだろう、この光景は。
岩泉さんが怒鳴り、床に転がるその人にドスドスとボールを力任せにぶつけている。
『あの、花巻さん、あの人は…?』
「あれが我らがキャプテン、及川徹でーす」
『え、及川徹って、今まで話してた?』
ウワサの及川さん、この人が…花巻さんの言っていた通り、面倒くさそうな人だなぁ。
あまり関わらないようにしよう、と花巻さんのアゴから逃れ、松川さんの後ろに隠れようとした時。バチッと、目が合ってしまった。
「あれ、可愛いコはっけーん!なになに、及川サンのファンのコなのかな?」
『いえ、マネージャーで…』
「そうかぁ、俺に憧れてマネージャー?」
『いえ、バレーボールが好きで…』
「分かるよぉ、その気持ち。及川サンカッコいいから好きになっちゃうよねぇ」
『ア、ハイ、ソウデスネ』
ダメだこの人ナルシスト。何を言っても自分なりの解釈に変えてしまう、恐るべき能力。
「悪いな天草、うちの部に入ったからにはこれは宿命だと思ってくれ」
『分かりました』
「天草さんっていうの?下の名前は?」
『星菜です』
「そっかぁ、星菜ちゃんか」
ニコり。白いジャージで爽やかな笑顔を浮かべるその姿は、まぁ王子さまっぽい、かな。
「俺は及川徹。ここでイケメンセッターやってまーす。よろしくね!」
ウヘペロ☆という効果音がぴったりな顔。しかもオプションでダブルピース付き。なんかこの人、なんか…
『なんか、頭のネジ1本取れて、る…』