Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第8章 ★18年分のダイスキを。:花巻
ふっ、と唇から熱が離れた。詰めていた息を吐き出すと、微笑む貴大とバッチリ目が合った。それから口角を上げ、言う。
「ほんっと慣れねぇのな、キス」
『っ仕方ないじゃん。だってどうやって息したらいいのか分かんないし……///』
口呼吸はもちろんできないので、鼻で息をするしかない。でも気を抜くとヘンな声が出ちゃうし、貴大が脇腹なぞってくるし、腰に添えられた手がくすぐったい。
「じゃあ練習すっか?」
『ちょ、待って……っんぅ!?』
キス再開早々、貴大は強引に舌を捩じ込んできた。思わず開いた口からは、あっと小さく声が洩れる。それに気をよくしたのか、ますます深く舌を絡めてくる。
キスは、嫌いじゃない。でも嫌い。だって自分が自分じゃないみたい。それに貴大にキスされてると、頭が真っ白になってボーッとして、気持ちいいって思ってる。
『…んっ……た、かひろぉ……っふぅ、ん』
「声えっろ……っ、と」
ふぃー、と貴大が一息吐く。下半身の力が抜けたあたしは、へにゃへにゃと貴大に抱き付いた。あー、幸せ。すごい、幸せ。
でも1つ、問題が残っている。
『た、貴大、あのね?』
「ん?」
『その、まだプレゼントあるんだけど……』
「え、なんだろ?」
興味津々、といった様子で訊いてくる貴大。うう、及川に言われたけど、本当はやりたくない。恥ずかしいし、照れ臭いし……
そんな不安を抱えながら、あたしは貴大の唇をそっとついばんだ。
「っ、星菜……?」
『あたしがプレゼント……って言ったら?』
貴大の目が大きく見開かれる。と思ったら肩を押され、ぼふんとベッドに倒れ込む。そして馬乗りになる貴大。その目は割りとマジ。
「それ、誘ってんのか……?」
『う、だって……せっかくの誕生日だから。その…貴大も思春期の男子だし?ずっとシてないし?たまる、のかなぁ、って……///』
思ったんですぅ!と、半ばヤケになりながら言うと、貴大ははぁーっ、とため息。
「お前さぁ、なに?煽ってるワケ?」
『いや、そんなつもりは……』
「今日は手加減、しないからな」
ニヤリと笑った貴大に、かぁっと顔が熱くなる。あぁこれは、ガチだな。貴大の目が欲情を孕んだものになったことに気付き、観念したように、あたしは目を閉じた。