Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第7章 ★Look at me!:田中
部員たちが帰った頃を見計らい、天草に声を掛け、一緒に部室に向かった。
『あの、田中先輩、話っていうのは……』
「俺の敗けだ」
『はい?』
「だから!天草のこと好きになっちまったって言ってんだよバカ……///」
しまった。告白なのにバカ、なんてのはよけいだったか。ちょっと後悔すると、天草がガバッと抱き付いてきた。
「のわっ!?」
『嬉しいですっ!』
ぎゅうっとめいっぱい抱きしめてくる天草の背中に俺も手を回し、ぎこちなくだが抱きしめてあげた。シャツ越しに当たる天草は、全部が柔らかくて甘くていい匂いがした。
『先輩、キスしたいです』
「うぇ!?」
『うぇ、って。ふふっ、ダメですか?』
そんな、かわいい顔して見上げてくるとか反則だろ、マジで。そんなん、俺が断れるわけねーじゃん。分かってんな、コイツめ。
「別に、いいぜ?」
『そうですか?じゃあ…』
ちゅっ。
天草の唇が、頬に触れる。驚いて目を見開くと、腕の中でいたずらっ子のように天草が笑う。
『どこに、とは、言ってませんよ?』
「お前なぁ…キスって言ったらこっちだろ」
『んっ!?』
ぐいと腰を引き寄せ、唇を合わせる。見た目の通り天草の唇はぷるぷるで、息を堪えているのか鼻から抜けるような声がなんともエロい。
『ん、田中、せんぱ…』
「もっとだ……」
離れた唇を、銀糸が切れる前に追う。そのまま深く絡めてみれば、切なそうに目を閉じる天草がいた。ヤバい、マジで。麻酔のようなキスに酔っていると、トントンと胸を叩かれた。慌てて離すと、くたり、と天草が凭れてくる。
『せんぱ、ちょ…盛って、ません?』
「わ、悪い!その、嬉しくて…」
急にイヤだったよな…と距離をとる。と、天草がキスをしてきてその空白は一瞬でゼロになる。それから俺の股間をハーフパンツの上からつぅ、となぞる。
「ばっ、おまっ!?」
慌てて壁際まで下がる。するとにんまりと笑った天草が迫る。背伸びをして一言、天草は耳元で呟く。
『せーんぱい、イケナイことシましょ?』
その言葉は直に鼓膜に響いて、それは甘い媚薬のようで。俺に残された道は、1つだった。