Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第7章 ★Look at me!:田中
【田中 side】
昨日の放課後、坂ノ下商店に寄り道したら天草に会った。随分考え込んでいるようで、肉まんをご馳走した。食天草は今度はわたしがご馳走しますね!と笑った。
肉まんを食べ終え、坂ノ下商店を出る。家の方向が反対のようなので、そこで別れることになった。またな、と手を振り、踵を返すと背中に重み。正体は、天草だった。
「天草!?」
『好きです』
「へ?」
『田中先輩が、好きです』
抱き付いてきた天草は俺のお腹に手を回し、そのままぎゅっと力を込める。って状況説明してる場合じゃねぇよ!
なんだこれ、なんだこれ!?
「ちょ、おま、落ち着け、な!?」
『先輩こそ落ち着いてください』
いやいやいやいや、いきなり抱き付かれて告白されて落ち着けとか、ムリだろ!?叫びたいのを寸でのところで堪え、天草の手をほどき、振り向く。
「お前何言ってるか、分かってンのか!?」
『好きですって言いました』
「だ――ッ、何回も言うなバカ!」
好きだ好きだと言われれば、照れるし驚くしなんとなく恥ずかしくもなる。フイと横を向いた俺の耳に、ふっと笑う声。
『ビックリしました?』
「するに、決まってんだろ……///」
いたずらっ子のように笑う天草。すると何を思ったのか、こう言った。
『田中先輩のことは、好きです。でも付き合ってほしいとは言いません』
「は?」
ますます意味が分かんねぇ。天草は何がしたくてこう言ってるんだ?
『田中先輩が潔子さんを好きなのはもう、さっきので痛いほど分かりました。わたしの想いも伝えました。だからわたし、田中先輩が好きになってくれるまで待ちます』
「……ハァ?」
『田中先輩が告白してくれるの、待ちます』
「いや、ちょ、何言ってっかわかん…」
『大丈夫です。わたしは田中先輩のこと、ずっと好きなままですから』
安心してくださいね、とにっこり笑う天草。あ、かわいい。っじゃねぇ!
『じゃ、お疲れさまでした』
「おう……ん、おい待て、天草!?」
後ろ姿に手を伸ばすも振り向いた天草は手を振って走っていってしまった。ぶらんと右手は宙をさ迷い、残された俺はただ立ち尽くすばかりだった。