Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第7章 ★Look at me!:田中
『天草星菜、マネージャー希望です』
山口に連れてきてもらって、集められた部員たちを前にして挨拶をする。お辞儀して頭を上げると、バチッとあの人と目が合った。
「あれ、この前の!」
『あ、えと、田中先輩、ですよね。あの時は本当にありがとうございました』
「龍、こんなカワイイ子と知り合い!?」
「この前ナンパされてるのを助けたんだ」
隣のちっちゃい人にそう言う田中先輩。
「そーか、マネージャーやってくれんのか!」
『はい。バレーに興味があって』
ごめんなさい、あんまりバレーに興味ないです。ほんとはあなたにもう一度会いたくて来たんです。なんて、言えない。
「じゃあこれからよろしくな!」
この前と同じように、ニカーッと笑う田中先輩に、きゅうんと胸が鳴る。だめだ、まだ2回しか会ってないのに。会話だってまともにしたことないのに。
わたしはこの人が、好きで好きで堪らない。
『はい、よろしくお願いします!』
体が火照り、耳の後ろに心臓があるみたいにばくばくうるさい。こんな感覚、初めてだ。人を好きになることはあったし、付き合ったりもしたけれど。それでも、初めてだ。
これがほんとにほんとの、初恋。
「じゃあ清水、天草に色々教えてあげてもらっていいか?俺らは部活始めるから」
「分かった」
澤村先輩が"清水"と呼んだその人は、山口の言っていた3年のマネージャーさん。スラッとしてて美人で、思わず見惚れるほど。
「天草、さん」
『あの、名前でいいです』
「そう?じゃあ星菜ちゃん、私は清水潔子、よろしくね。じゃあまずは部室に行こうか。そのあとは普段してることかな」
『よろしくお願いします、清水先輩』
ペコリと頭を下げると、清水先輩は小さく笑みをこぼした。お綺麗でいらっしゃる…!
「そんな畏まらないで」
『は、はい。じゃあ、潔子さん…?』
「うん、それがいいかな。じゃあ行こっか」
『はい!』
潔子さんのあとについて体育館を出る。と、後ろから田中先輩が駆けてきた。
「俺も行きましょーか!?」
「田中は部活」
「あス!」
嬉々として戻る田中先輩。あれ、もしかしたら、とぽっかり心に浮かんだ気持ち。その真偽が分かるのは、すぐのこと。