Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第7章 ★Look at me!:田中
【天草 side】
この前の朝、いつも通り学校に向かっていると、駅で他校生に絡まれた。声を掛けてきた3人組のそいつらは、しつこくてしつこくて。いい加減嫌気がしてきた頃、
「お前ら、その子嫌がってんだろ」
わたしの目の前に、救世主が現れた。シッシッと追い払うと、チビっこいわたしに目線を合わせて訊いた。
「大丈夫か?ケガとかしてないか?」
その人は坊主頭で、運動部なのか真っ黒なジャージを着ていた。人相はどちらかというと恐い、ヤンキーに見えなくもない人。
『大丈夫、です』
「ならよかった!」
ニカッ、と真っ白な歯を見せて笑ったその人に、キュンと胸が高鳴った。じゃーな!と手を振って歩き出すその背中から、目を離すことができない。あれ、わたし、お礼すら言ってないじゃない。
『あのっ!』
そして、気付いたら追い掛けていた。
『わたし、天草星菜っていいます。助けてくれて、ありがとうございました!』
その人は、やっぱりニカリと笑う。
「俺は田中龍之介だ!また会えるといいな!」
"田中龍之介"と名乗った人は、ヤバい部活遅れるじゃーな!と早口で言うと、颯爽と駆けていってしまった。
田中くん、かぁ。あれ、同級生かな?それとも先輩だったりするのかな?でも黒いジャージの背中には烏野って書いてあったから、同じ学校なんだよね?いくつもの疑問をもったのは、学校に着いてからだった。
それから数日、ネットワークを駆使して手に入れた情報。田中龍之介と名乗ったその人は2年生で、どうやらバレー部らしい。
バレー部、といったらうちのクラスにいるじゃない、月島と山口。そう思ったわたしは早速山口に話し掛けてみた。
『山口、あのさ』
「うわ、天草さん!?」
後ろから声を掛けると、びくっと肩を跳ねさせる山口。くるりと前に回り、少し心配そうにも見えるその顔を下から覗き込む。
『ね、山口ってバレー部だよね?』
「うん」
『じゃあさ、マネージャーとかいる?』
「3年生に、1人いるよ」
『ふぅん…わたしも入ろっかなーって』
「え、そうなの!?じゃあ部活、来る?」
『うん!』
出会ってから数日。一目惚れした人との再会は、どうやら思ったよりも早そうです。