Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第6章 鈍感少女の青春記録Ⅱ《青葉城西》
お待たせしました~、と店員さんが私の前にパフェを2つ、置いていく。花巻さんと顔を見合わせ、クスクスと笑った。
『本当はこっちなんですねー』
「店員もやっぱそう思うよな-w」
ずい、とシューパフェを花巻さんの前に押す。そしてイチゴソースのかかった生クリームをスプーンで掬い、ぱくり。
『んんんっ、おいひぃ!』
「シューがウマい、シューが」
『花巻さんイチゴです!』
「そりゃイチゴパフェだからな-w」
あ、しかもスポンジの層がある。わ、イチゴソース何種類かかってるの。あぁんもう生クリームだけじゃなくてカスタードも。しかもイチゴめっちゃ乗ってる。
「岩ちゃん」
「あ?」
「"いっぱい食べるキミが好き"ってあったじゃん。星菜ちゃん見てるとスゴい納得なんだけど。まっつんも思わない?」
「それな。すげー幸せそうに見える」
『しあわせれす!』
松川さんにニコッと笑うと、そりゃよかったねお嬢さん、と返ってきた。まだそのネタ使うのか、お父さん。
反対の花巻さんの方をくるっと向き、スプーンをはいどうぞと差し出す。
「あーんしてくれんの?」
『もうスタンバってるので。はい、あー』
「んぐ。イチゴいいね。じゃ、はい」
『はむ。んん!シュークリームサクサクでクリームが濃くてもう、美味しいです!』
もう一口ずつ交換こして、パフェをペロリと食べた。本当ならチョコも食べたいけど、それはまた今度のお楽しみにとっておこう。
「んじゃ及川、会計よろしく」
「ぶー」
「不貞腐れてやんの」
「ウケる」
伝票を持ってレジに向かう及川さんたち。残った私は、テーブルのゴミをまとめたりお皿を重ねたりと、軽く片付け。
「天草、サンキュな」
『あ、いえ』
「行くか」
『はい』
岩泉さんの後ろをテクテク歩く。と、岩泉さんが立ち止まって振り返る。ん?と思っていたら、岩泉さんがじっと顔を見てくる。
『い、岩泉さん?』
「ちょっといいか」
『え、あの……』
ス、と岩泉さんの手が伸びる。そして頬に触れる。え、なに、どうしたの!?思わず目を瞑ると、唇の端をくっと指が掠めた。
『………へ?』
「クリーム、付いてた」
そう言ってペロリと指先を舐める。その仕草が妙に色っぽくて、先を行く岩泉さんの背中を見れなかったのは、ここだけの話。