Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第6章 鈍感少女の青春記録Ⅱ《青葉城西》
花巻さんと松川さんの間にちょこんと座る。両サイドの存在感に縮こまっていると、及川さんが目の前でスマホを構えた。
「ちょ、マッキーとまっつん寄って!」
『え、ちょ、及川さん!?』
「いいね、星菜ちゃんが妹」
『花巻さん!?』
よいせ、と2人が距離を詰める。仕方なくピースをして写真撮影。何が一番気に食わないって、岩泉さんかそっぽを向いて笑いを堪えているのが気に食わない。
ぱしゃり、ぱしゃり。2度のシャッター音の後に、及川さんがスマホを下ろした。
「はいおっけー。部のグループに上げておこうかな。お兄ちゃんと妹、って」
『冗談はやめてください!』
まったくもう、この人たちは。
そんなやり取りの後にメニューを見る。今日はハンバーグって気分じゃないな。パフェも食べたいから軽めかな、カルボナーラにしよ。
『決まりました?』
「及川サンはナポリタンにするー!」
「チーズインハンバーグでしょ」
「松は安定だな-w俺はキノコのパスタ」
「あー、でも悩んでる。この和風ハンバーグってのもウマそうだなーって思ってさ」
うーんと悩む松川さん。すると、岩泉さんが突然「あ」と声を上げた。
「ならさ、俺それにするから。松川のチーズのと半分こしよーぜ」
「えぇっ!?」
口に手をあて大袈裟に驚く及川さん。そしてブルブルと震えながらこう呟いた。
「岩ちゃんが…岩ちゃんが半分こて!カワイすぎか、キュン死するぞ!まぁ知ってたけど!カワイイのはずっと前から知ってt…」
「黙れッ!」
ボスッ、ぐふっ、げほがは、ごほ。
一同、シ―――ン。1人、むせ返り中。
『えぇと、決まったようなので頼みますか。すいませーん、ナポリタンとキノコのパスタとカルボナーラ1つずつ。それからチーズインハンバーグと和風ハンバーグのセットも。あとドリンクバーを5つお願いします』
通りかかった店員さんに注文を告げる。復唱してからパタパタと駆けていく店員さんの背中を見送り、正面を向くと、及川さんの目が点。
「スゴいこのコ、今のぐっちゃぐちゃな会話から見事に注文したよ!しかも岩ちゃんとまっつんのライスのことも忘れてなかった!」
『え、ご飯いりますよね?』
「「おう」」
「なんか、改めて女子の気遣いを感じた」
『花巻さんってば、褒めても何も出ませんよ』