Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第6章 鈍感少女の青春記録Ⅱ《青葉城西》
「いやぁ、岩ちゃんのクチビル、ぷにぷにで温もりがあってさいこu…」
「死ね!」
「もぉ、照れないでよぉ~」
「右頬にも食らわしてやるか?」
「遠慮しようかな!?」
前を歩く及川さんと岩泉さんは、そんな会話を繰り広げる。ヤッホー、と振り返って手を振ってきた及川さんの左頬は、見るのも痛々しいほどに赤くなっている。
『あの、冷やした方がいいんじゃ…』
「いつか治るからいーべ」
『岩泉さんがいつになく塩対応です』
まぁ、それもそうか。
あの後、及川さんの左頬に渾身のグーパンチを食らわせた後に謝罪させた岩泉さん。必死に頭を下げる姿といったらコメツキバッタのようで、国見君と一緒に笑いを堪えていた。
そして慰謝料と岩泉さんと私の少し早めのお誕生会を兼ねて、ファミレスに行くことになったのが、30分前のことである。
『ファミレスなんて、久し振りかも』
「へー、そうなんだ?」
『昔はよく行ってたんですけどね。デザートにはよくパフェとか頼んだりしてました』
「マジか!俺もなんだよね~」
そんな会話を花巻さんとする。この前知ったことだけど、花巻さんは甘党なんだとか。
「じゃあ今日も食べるんだ?」
『もちろんです!なにせわたしと岩泉さんのお誕生会なので、全て及川さんがお支払してくださるようなので!』
ね、及川さん!と笑い掛けると、及川さんも笑顔で返してくれた。泣きそうだったのは、見なかったことにしーようっと。
喋りながら到着したのは、青葉城西高校から徒歩10分少しのファミレス。
さて、ここで問題発生。
『5人だから…片方3人掛けですね』
「ガタイのいいヤロウ3人はキツいから、どっちかに天草入んねーとだな」
岩泉さんの言葉に頷く。及川さんと岩泉さんの方に座るか、花巻さんと松川さんの方に座るのか。うぅむ、悩みどころだ。
及川さんのウザ絡みはイヤだし、かといって花巻さんにいじられるのも好きじゃない。よし、ここは"どちらにしようかな"で決めよう。
『どちらにしようかな、神様の言う通り、鉄砲撃ってバンバンバン、もいちど撃ってバンバンバン!あ、花巻さんの方ですねー』
「いらっしゃい」
「お膝にどうぞ、お嬢さん」
『わぁお父さんありがとう!って、 松川さん、冗談はやめてください!』
しまった、松川さんも絡むのか…