Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第6章 鈍感少女の青春記録Ⅱ《青葉城西》
3人で及川さんをディスり、岩泉さんを哀れんでいると、遠くを逃走中だった及川さんが方向転換し、こちらに向かってきた。
「星菜ちゃっ、助けてえぇぇぇえ!」
「クソ川待てやあぁぁぁあ!」
『えっちょ、及川さん来ないでください!』
そう言ったにも関わらず、及川さんは足を止めない。それどころか、私を盾にして背中の後ろに隠れたのだ。
『卑怯です!』
「岩ちゃん恐いもん!てか止まって!」
「天草を盾にするとか……テメェこの期に及んで何してんだゴラァ!?」
「ギャー、殺されるー!?」
『あー、もうっ!』
前と後ろでうるさいんですよあなたたち!
猛ダッシュ岩泉さんがこっちに向かってくる。このままだと私が二次災害を…いや、メインで被害を受けかねない。何とかしなければ。こうなったら仕方ない、最終手段だ。
岩泉さんが目の前に来たところで奥義……
『必殺、しゃがむっ!』
「え?」
「お?」
「なっ岩ちゃ…」
「及川アァァァア!」
縮こまる私を飛び越えて、岩泉さんは及川さんに飛び掛かる。そのまま及川さんを下敷きに床に倒れた。刹那、
ぶちゅっ
そんな音がしそうな光景が広がる。まぁ強いて言うなら、及川さんと押し倒す岩泉さんの唇が合わさってる、という…
『っみ、見てません!』
「うわぁ、岩ってソッチ系?」
「あらら、硬直してるよ-w」
事態を把握できず、石像と化すお2人。先に硬直が解けたのは岩泉さんで、ズザァッと及川さんから飛び退く。及川さんも岩泉さんもその顔は文字通り、真っ赤。
「なっ、お、ばっ、おまっ、っ!?」
「何を、及川、ばか、お前と言っている」
『花巻さんなんで分かるんですか?』
「カン?」
『さいですか』
ちょっとスゴいなって思ったのに。実はエスパー花巻かなって思ったのに。さて、そんな私たちをよそに、及川さんは手を口に添えて目を潤ませ、ふるふると震えている。
「い、岩ちゃん……ついに俺と付き合う気になってくれたんだね―――っ!」
「抱き付くなボゲェ!」
ガバァッと抱き付きにかかる及川さん。に今度は押し倒されてもがく岩泉さん。
『松川さん、まさかとは思いますが…』
「できてないできてない。あそこはカップルじゃないよ、断じて違うから」
「そう思いたいよな…」
あ、けっこう深刻なんですね。