Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第5章 ★ヤキモチの裏返し:二口
『二口、知り合い?』
「知り合いっつーか、敵かな」
そう言いながら私に後ろから手を回す二口。アゴを頭の上に乗せると、さもイミありげに及川に向かって言った。
「及川さんはこんなとこにいていいんスか?この前もウシワカに負けたんでしょ?」
「この前"は"!つかお前らだって青城に負けてばっかじゃん。あ、負け犬の遠吠え?」
「あんまナメてると、オトナリサンもろともブロックでどシャットしちゃいますよ?」
「おー恐い恐い。っと、それより…」
及川は二口から視線を逸らし、私をじっと見詰める。そして爽やかに笑った。
『ん?』
「星菜はなんでソイツといるの?」
『え、だって。彼氏だもん』
「「は!?」」
及川と岩泉の声がハモる。
『私、二口と付き合ってるもん』
「は、マジか?」
『うん』
「星菜、目ぇ大丈夫?眼科行く?」
「どういうイミだよ」
そっか、そんなに意外なのか…まぁ私も二口に告白された時はびっくりしたよ?工業高校でほぼ男子校みたいなものとはいえ、二口ほどにルックスがいいのは、そうそういない。
「そっか、なんだ。彼氏なのか」
『うん。ごめんね?いや、何がだろう』
「せっかく会えたのに残念。あ、記念にさsnowで写真撮ろ!岩ちゃんも3人で!」
及川がスマホを取り出したので、二口から離れて及川の方へ向かう。私を真ん中に両サイドに及川と岩泉。ダブルピースでぱしゃり。
「撮れたよ!あ、星菜LINE教えて。あとで星菜にも送ってあげるから」
『わー、そこは及川ナイス』
「そこは!?」
「再開早々に辛辣だな、天草」
『岩泉ぃ、それホメ言葉だよ?』
「そーかよ-w」
そうして2人とLINEを交換。部の買い出しがあると言うのでそこで別れた。
『ふったくっち君、おまたせ?』
「おー」
『買い物とか及川とか、付き合わせちゃってごめんね。あとは行くとこないよ』
「いーって。んじゃ、俺ん家来るか?」
『うん!』
二口の手を取りぶんぶん振り回す。久し振りのデートだ、って、浮かれてたのかな。二口の表情がひどく不機嫌そうなのに、私は気付くことができなかった。