Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第5章 ★ヤキモチの裏返し:二口
毎週月曜と金曜は私がお弁当を作りそれを屋上で食べるのが習慣になっている。
さて、屋上のドアを開けると、夏を感じる風がふわりと吹いた。二口は1人でさっさとフェンスの傍に座っている。
二口の隣にちょんと座り、ふと見上げた太陽の光が眩しくて目を細める。しかしその反対には二口の放つダークなオーラ。
『二口いつまで怒ってるの?』
「別に怒ってねーよ」
『うそ。顔恐いもん怒ってる』
「だからちげーって」
『怒ってる。ねぇ、こっち向いて?』
「やだ」
『二口!』
「あーもう、なんで……んぐ!?」
振り向いた二口の口(だじゃれか)に卵焼きを突っ込む。モグモグと無言で食べる二口。ごくりと飲み込んだ二口の反応を待つ。
『どお?』
「……ウマい」
『よかった。はい二口の分のおべんと!』
渡したお弁当箱のサイズは私の2倍はある。それをペロリと平らげて、さらには下校途中に買い食いまでするのだから、体育会系男子の食欲とは恐ろしい。
「今日の卵焼き、いつもより甘くね?」
『うん。たまには違うのもいいかなって砂糖にしてみたんだ。美味しくなかった?』
「いや、逆。ウマいと思う」
『よかったぁ。あとごめんね』
「何が?」
『今日のおかず、寝坊しちゃったから、冷凍食品の割合が高いです…』
「気にしねーよ。わざわざ弁当作ってくれてるんだから。文句は言わない」
『そういうとこ、律儀だよねぇ』
もぐもぐ、我ながら美味しいや。隣の二口をちらりと見ると、バチッと目が合った。
「ん?」
『なんも。けどいいね、こういうの』
「どんなの?」
『んー?こうしてさぁ、お昼休みにお弁当食べて、特に何もしないでのんびりするの』
「おー。弁当、んまかった。ごっそーさん」
『はーい、お粗末様でした』
お弁当箱を返却、ごろりと横になる二口。耳がうっすらと赤いのは、きっと言ったら怒るやつだよね。二口、シャイだもんなぁ。
「そうだ。今日の部活早く終わるって」
『やったぁ。じゃあさ、一緒に帰ろ。あと駅前で買い物付き合ってくれる?』
「おっけ」
そんな風に過ごし、予鈴が鳴る。二口の教室の前でまたねと告げ、教室へと急いだ。
どんなお店に行こうかな。どんな二口が見れるかな。そんなことばかり考えていて、数学の内容なんてちっとも頭に入らなかった。