• テキストサイズ

Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第5章 ★ヤキモチの裏返し:二口




【天草 side】


キーンコーンカーンコーン。


そんな呑気な音が鳴った、午前最後の授業。毎週金曜は2限続きの実習がある。クラスメイトとお喋りできるし楽しいけど、細かい作業の連続で目が疲れるのが難点。


「天草、一緒にお昼食べるー?」


教室に戻る途中、友達に言われた。


『んーん、今日は遠慮しとく』

「あ、彼氏んとこ行くんだな?」

『うん。疲れた目の保養ですよ、保養』

「こんのリア充め!楽しんでこい!」

『罵るのか励ますのかどっちなんだ!』


けらけらと笑い、いつもよりお弁当1つ分重たい手提げバッグを持つ。向かったのは2年生のフロア。だって二口、私が起こさないとお昼休みずっと寝てるもん。

二口の教室に行くと、ドアの所には安定の青根君が立っていた。


『青根君、こんにちは。二口は?』


強面の青根君が指差す先、やっぱり二口は机に突っ伏して寝ていた。お邪魔します、と内心で断ってから、2年A組に入る。うう、やっぱりまだ慣れない、好奇の視線に。

熟睡する二口の肩をトントンと叩く。ん…と唸りながら二口がもぞりと動いた。


『二口、お昼!食べ損なったら部活大変になっちゃうんだから、起きて!』

「ん、わーったわーった。起きるよ…」

『そうやっていつも二度寝するじゃない!』

「だって寝むてえもん」


うだうだ言って、二口はまた睡眠体勢に移行する。いいもん、そっちがその気なら、私にだって策があるんだから。


『そ。じゃあお弁当1つ余っちゃうから茂庭と食べてこよー。あ、青根君食べる?』


二口の傍を離れようとした時、がっしりと腕を掴まれた。見れば、むっすー、と寝起きとヤキモチの混ざった膨れっ面をした二口。


「弁当、それ俺のだろ」

『はいはい。ほら、屋上行こ?』

「うぃーす」

『青根君、またね』

「手ェ振んなくていいから。行くぞ」

『えー、ずっと二口のこと待っててあげたのに言い方!あ、青根君、ばーいばーい!』


ブンブン手を振ると、小さく振り返してくれる青根君。ああ、ギャップが可愛らしい。

っと、こんなことしてると二口が怒っちゃう。そっと右手を左手に重ねると、むっすりしながらも握り返してくれた。まったくもう、素直じゃないんだから。

困った後輩が彼氏だと、大概大変だ。


  
/ 188ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp