Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第1章 鈍感少女の青春記録Ⅰ《青葉城西》
国見くんの背中に隠れるようにして、体育館を移動する。ぴったり背中にくっつく私に、国見くんはさもイヤそうに顔をしかめた。
「ちょっと、歩きにくいんだけど?」
『いや、やっぱ、高校生って、しかも男子って迫力あるなぁと思いましたです…』
「日本語日本語(笑)」
ここ、青葉城西高校の男子バレー部は県内でもトップレベルの実力。未だ全国に行ったことがないのは、信じられないくらい。
『っぶふ!?』
キョロキョロしてたから、立ち止まった国見くんに気付かず激突。
「あのさぁ、ちゃんと前見てよね」
『ひゅ、ひゅみません…』
ぶつけた鼻の頭をさすりながら謝る。と、国見くんが前にいる人に声を掛ける。
「岩泉さん、コレ、マネージャー希望です」
「おう、国見か。で、マネージャー希望?」
『わ、私です!』
背中から出て、国見くんの隣に並ぶ。目の前の人は、どうやら先輩のよう。雰囲気が違うし、目の奥には強い光が見てとれた。
「よし、名前とクラスを言ってくれ」
『1年6組、天草星菜ですっ!』
「天草な。俺は岩泉一、3年だ。マネージャー希望ってことだが、軽くテストな」
『うぇっ!?て、テスト!?』
ビックリした私に、岩泉さんは当然といった風に繰り返した。
「そう、テストだ。つっても、バレーの基本的な知識があるかどうかってトコだ」
『そう、ですか…』
そんなの、聞いてないですけど!?
隣の国見くんをちらりと窺うと、フッと鼻で笑った時と同じ顔をしていた。
こんにゃろぉ~っ!
テストの事、絶対知ってたなぁ~っ!
知ってて言わなかったなぁ~っ!