Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第4章 ★"恋"ってなんですか?:日向
【天草 side】
「おれ、ヘンなんです。星菜さんが嬉しいとおれも嬉しくて。悲しそうだと、おれまで悲しくなるんです。なんで、だろ…」
家の前、一緒に帰ってた後輩の日向に呼び止められた。そして、何だろうと振り向いたあたしに飛んできた言葉がこれだ。
下向いて、震えちゃって。あぁもう、どうしてキミはこんなにかわいくて、こんなにあたしの心を乱してゆくの?
あたしの心に日向への"好き"が溢れて、日向をぎゅっと、抱きしめた。
「星菜さんっ///」
『ねぇ日向、教えてあげようか?』
「っは、はい、な、何をっ!?」
『日向がさっきした、質問の答え』
びくりと、日向の体が分かりやすく震えた。怖い、のかな。自分の気持ちを、知るのが。
『日向がイヤならいいんだけどね』
本当は、教えてあげたい。キミの気持ちの、その答え。でも、本人に知る気がないのなら、それはよけいなお世話だから。
しばらく待ったけど、日向からの返答はない。これは、NO、ってことかな…?
「……き、聞きたいです」
ヘタしたら、虫の声に掻き消されてしまいそうなくらい、小さな声で。日向の手が、キュッとあたしのジャージの裾を握る。
『日向……』
「知りたい、です…」
『うん、あのね。日向の、その感情は…』
"恋"って、言うんだよ。
リリーリーンと鈴虫の鳴き声。秋の夜の風の吹く中、日向はあたしの言葉を反芻する。
「こ、い……これが、恋…」
『うん。そうだよ。ついでに言うとね、あたしだって日向に"恋"、してるんだよ』
「っふぇ!?」
パッと顔を上げる日向。
『ふふふ、だから、両想い、だね?』
「おれと、星菜さんが?」
『うん』
「り、両想い?」
『うん』
「っ、そ、か……///」
ぽす、と日向は頭をあたしの肩に乗せた。背中に手を回してよしよしと撫でると、日向の腕が背中に回った。そして、力がこもる。
「星菜さん、おれ」
『ん?』
「好きです。好きなんです、星菜さん」
『うん。あたしも、日向好きだよ』
腕を解くと、日向はふにゃりと笑った。照れたような笑みがかわいくて、前髪を掻き上げたそのおでこにそっと、唇を寄せた。