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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第4章 ★"恋"ってなんですか?:日向




キキキキキ…と、自転車の車輪が回る音がする。それと虫の鳴き声と、2人分の足音。


『はぁ…もうすぐ冬になっちゃうなぁ…』

「12月まであと3ヶ月ありますよ?」

『うん。でもあっという間だからね。そしたらセンター試験に卒業式でしょ…』

「星菜さんは大学どこ行くんですか?」

『県外。だから、みんなにも日向にも会えなくなっちゃうね。あーあ、寂しいなぁ』


こつ、と足元に転がる意思を蹴る星菜さん。街灯に照らされたその顔は、本当に寂しそうだった。


「あの、おれ、星菜さんが寂しくないようにいつでも会いに行きます!」

『ふふ、あたし千葉の大学だよ?』

「うっ……でも、チャリこいでいきます!」


おれとそんなに背の変わらない星菜さんを、真正面から見つめる。ふっと星菜さんは微笑んで、おれの頭に手をのせた。


『ありがとう日向。嬉しい』

「っへへ」


お礼を言われたのが、なんとなく照れ臭くて、鼻の頭をポリポリと掻いた。それからはめっちゃくちゃ楽しかった。先生から聞いたこぼれ話とか、大地さんたちが1年の頃の話とか、星菜さんは色々話してくれた。

そうしてるとあっという間に時間が過ぎていて、星菜さんの家に着いていた。


『日向、送ってくれてありがと。本当は自転車ならもっと速かったんでしょ?』

「いえ!星菜さんを1人で帰らせるわけにはいきませんから!」


えへん、と胸を張ると、星菜さんは笑って、日向は頼りになるね、と言った。またね、と後ろを向く星菜さん。その時、さっきの悲しそうな顔がよぎった。気が付けば星菜さんの手を掴んでいた。


『日向…?』

「っあの、星菜さん、あの……」


驚いて振り向く星菜さん。何か、話さないと。ここで別れたくなんかない。


「おれ、ヘンなんです。星菜さんが嬉しいとおれも嬉しくて。悲しそうだと、おれまで悲しくなるんです。なんで、だろ…」


こんなことしか言えない。もっと、カッコいいこと言いたいのに。悔しくて、ぎゅっと目を瞑って唇を噛んで下を向く。

どれくらいたっただろう。ふわりと、甘くて優しい匂い、そしてあたたかい。ハッと目を開ければ、星菜さんに包まれていた。


 
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