Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第4章 ★"恋"ってなんですか?:日向
部活が終わっても、体育館が閉まるギリギリまで居座るのが日常茶飯事。おれは影山と一緒に練習をしていた。
助走に入り、踏み切り、腕を振る。目を開けて、自分の意思でスパイクをすることに、ようやく慣れてきた。手がボールの真芯を捉えた感覚の直後、エンドラインスレスレの所にボールが突き刺さった。
「「ッシャア!!」」
ガッツポーズをし、もう一本!と影山に頼もうと思ったその時。後ろからパチパチと拍手が聞こえてきた。
『スゴいスゴい。2人とも上達したねぇ!』
「「アザっす!!」」
「ボゲ、俺に被せんなよ!」
「影山こそ重ねてくんなよ!」
『っふふふ、あはははっはははっ、ふはっ』
ギャーギャーと言い合いをしていると、星菜さんが笑う。お腹を抱えて、本当に楽しそうに、可笑しそうに。おれと影山もつられて笑う。
あれ、どうして星菜さんが楽しそうに笑ってると、おれも嬉しくなるんだろう。
『はー、可笑しかったぁ。ほら、もうそろ体育館閉める時間だから、かたそっか!』
「「あっす!」」
ネットをまとめ、ボールをしまい、最後に軽くモップがけをする。部室のカギもかけたのを確認し、3人で校門へと向かう。
星菜さんも影山も、途中までは同じ道のりなので、一緒に帰る。星菜さんは話すのが本当に上手で、取っつきにくい影山も自然と話せていた。
『影山のトスさ、ほんとスゴいよね。あたし影山の体を解剖して見てみたいもん』
「それ、俺死ぬじゃないすか!」
『あっはは、じょーだんだよ!』
けらけらと笑う2人。楽しそうな様子に、ずきんと心臓が…胸が、痛んだ。
なんで、どうして。
星菜さんの行動1つで、こんなにも心がざわめくのだろう。自分の心なのに、制御が効かないようで。やっぱりおれ、ヘンだ。
『……た、ひな…、ひーなたっ!』
「っうぇあ、はいぃ!?」
『なしたの?影山もう帰っちゃったよ?』
「っえ、あぁ…」
気が付けば分かれ道で、影山の背中はずっと向こうだった。じゃあここから、星菜さんと2人で帰るのか。
『日向って雪ヶ丘の方だよね?』
「そうです!」
『じゃあ途中まで一緒に行こっか!』
にこりと笑う星菜さんに、俺も笑った。