Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第3章 ☆黒猫の慧眼:黒尾
え、いやちょっと待て。天草は研磨が好きで、それで話してるんじゃねーの?ゲームの話とか、仲を深めるためじゃねーの?
俺が考える間にも天草は話す。そろりと壁から身を乗り出すと、天草が微笑んでいるのが窺えた。
『その時の黒尾さん、すごく優しい目だったの。チームの事と、バレーの事が大好きなんだって分かる目で。目を見たら仲間を大切にしてるんだって分かって。それと、見て状況をを判断するのが上手くて。のろけかな?』
「おれにはそう聞こえる」
『あははっ、そうかな。でも、こんな事相談できるの、孤爪君しかいないよ』
「クロの幼馴染みっていうのもあるしね」
そうだね、と天草が返す。それから手に持っていたペットボトルの中身を飲み、ふうっとため息を吐いた。
『本当は、もっと普通に話したいの。でも気持ちに気付いてからは意識しちゃって』
「おれは、好きな人できたこととかないからよくわからないけど。でも、天草は自分に素直になればいいんじゃない?」
『そうなのかな…』
「天草はクロのこと、ほんとに好き?」
研磨の問いに、天草は照れたように頬を掻いた。そして、言う。
『それは、うん…///だ、だからこうして、孤爪君に話を聞いてもらってるんじゃない』
「そっか…」
そう言うとスクッと研磨が立って、まっすぐに俺の方を見る。おっと、これはマズい…
「だ、そうだよ。クロ、いるんでしょ?」
『え、孤爪君!?』
「うわ、バレてたんだ…」
ひょこひょこと出ていくと、研磨がすごい顔をしてこっちを見てきた。怒ってる、な。
「立ち聞きはよくないと思う」
「いや、立ち去るタイミングを見失って」
『黒尾さ……っえ、もしかして、そのっ…』
「全部、聞いちゃいました」
次の瞬間、天草が一瞬で真っ赤になった。そして、え、あ、う、と途切れ途切れに言葉を発する。ついには『ウソでしょおぉ』と顔を抱えて踞ってしまった。
「じゃあ、おれは戻るから。あとは2人でちゃんと、素直に、話し合ってね」
『あっ、孤爪く……』
スタスタと廊下を歩く研磨。残された俺達は言葉を発するわけでもなく、無言でいる。ジジッと蛍光灯が明滅する。
先に口を開いたのは、天草だった。