Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第3章 ☆黒猫の慧眼:黒尾
プレーに雑さは目立つし、木兎に腕の間抜かれるし、挙げ句の果てに顔面に当たりそうになって、もう、散々だった。
「くろおー、お前なんかあったー?」
「あ?何で?」
「なんかさ、プレーがテキトー」
ぐさり、木兎に言われた。これが赤葦とかだったら問題ないけど、木兎っていうところに問題がある。こんなバカに心配されてるのか。そう思うと、とてつもなく腹が立つ。
「うるせ。オラ、ラスト一本だ!」
「ヤッター!」
最後に木兎のスパイクをどシャット。そうして今夜の自主練はお開きになった。
そのまま風呂に直行する。そういやもうそろ消灯まで1時間か。研磨と天草、何してんのかなー。ゲーム?それとも…
「クロさん?大丈夫すか?」
「リエーフ?」
「なんか、ヘンっすよ?」
「うるせー」
「ギャッ!?」
素直に心配していたであろうリエーフに、シャワーで熱湯をかける。あっ、あっづいぃ!と跳ね回るリエーフに内心謝る。すまん、俺が勝手にイラついてるだけだ。
「黒尾!どっちが長く潜れるか勝負しようぜ。明日の晩飯のオカズかけてさ!」
「そんなことしねーよ」
賭け事を持ち掛ける木兎を一蹴して、風呂場を出た。わっしわっしと髪を拭き、半乾きのまま音駒の部員用の教室に向かう。
にしても喉乾いたな自販でコーラでも買ってくか。そう思ったのが間違いだった。角を曲がったその先に、研磨と天草がいた。
「…んだよ……クソッ……」
吐き捨てるように言い、立ち去ろうとして、研磨の声が聞こえた。
「天草は、クロのどこが好き?」
咄嗟に隠れ、耳をすませる。盗み聞きは悪いと知っていても、立ち去る気にはならなかった。
『どこ、なのかな…』
「性格、は、ないと思うけど」
おい研磨ァ!と怒鳴りそうになるのを抑える。研磨の一言に天草がクスクスと笑ってそれからこう言った。
『初めて会った時にね、私緊張してたんだ。きっとすごく頼りなく見えたはずなのに、黒尾さんは笑ってくれたの。そしてこれからよろしく、って、握手してくれて…』
"私ね、黒尾さんの目が、好きなの"
声しか聞こえなかったけど、俺の心を射抜くには十分すぎるほどだった。