Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第3章 ☆黒猫の慧眼:黒尾
メシはだいたい学校ごとにまとまって食う。時々チビちゃんやツッキーや木兎達も混ざるが、基本的には音駒でまとまる。
そして今も。目の前で研磨と天草がスマホの画面を覗きながらご飯を食ってる。
「ここでこっちを殺ると…ホラ、弱体化が来ないから、遅延かけてターン数稼いで…」
『あぁ、それで真ん中殺るのね』
「そう。あとここボスキャラドロップしにくいから、周回しないといけないんだよね」
『わー、たぶん1コンしちゃうかな…』
「協力プレイする?その方がおれも楽だしドロップ率も上がるから集めやすいよ」
『いいの?孤爪君ありがとう』
研磨が珍しくハマったクイズRPG。天草が教えたようで、最近なかなかに熱中している。
「研磨よー、ゲームも良いけど自主練しようぜ。チビちゃんとかもいるしさー」
「ヤだ」
「即答かい」
「だって翔陽はスタミナあるし、木兎さんとかもいるんでしょ?おれ行かないから」
研磨はこう、動くのが嫌いなんだよな。バレー続けてるのも不思議なくらいだけど、その辺は俺の影響がデカいだろうな。
そして改めて目の前の2人を観察する。研磨が画面をタップするごとに、天草はへぇとか、ふぅんなどと相槌。時折、2人で顔を見合わせてクスクス笑ったり。天草は俺といるよりも全然楽しそうで。
ああ、なんだ、そうか。
天草は研磨が好きだったのか。
そう考えると全てに合点がいく。バスでなんとなく赤面してたのも、後ろの研磨がポッキーをあげたから。ゲームだって、研磨と仲良くする最高のツールだ。
それに俺も。"研磨の幼馴染み"イコール"近くにいれば研磨と話せる"に直結。
「今日の夜、風呂入ったら時間、ある?」
『消灯まででしょう?うぅん、1時間くらいなら大丈夫だと思うな』
「じゃあ自販機の前で」
『分かった。ごめんね、あと、ありがとう』
「うん」
会話をする天草の頬が、心なしか赤い。この感じは、きっと告白でもするのだろうか。俺の入るスキマはどこにもない、と。
その後、メシの味はよく分からなかった。ただすげースピードで食って、早々に第3体育館に向かったことだけは覚えている。
あとはもう、ガムシャラにバレーをしていた。