Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第3章 ☆黒猫の慧眼:黒尾
【黒尾 side】
今日の午前最後の試合は森然と梟谷だった。それを観戦しながらふと、言ってみた。
「時に訊くが澤村君よ」
「どうした、黒尾」
「うちの新入りマネちゃん、どう思う?」
真面目な烏野主将をじっ、と見下ろす。澤村はきょろりと天草を探し、その姿を見付けると、うーんと言った。
「いい子じゃないのか。清水や谷地さんとも仲が良いみたいだし。それに初日の夜、わざわざ俺らの部屋まで挨拶に来てくれたぞ」
「やっぱそー思う?」
「…違うのか?」
「いや、違くない。めっさイイコ」
そう、天草はイイコなのだ。好きか嫌いかと問われれば、モチロン好きだ。容姿も好みどストライクだし、話上手で聞き上手。
ただ1つ、最近の悩み。
「天草さぁ、研磨と仲良いんだよ」
「学年も同じだしな。って、まさか黒尾と天草さん付き合ってるのか!?」
「なワケ-w」
あわあわする澤村が面白く、くくくと笑う。
「じゃあ黒尾の片想いか?」
「どーだろうな。こればっかりはなー…」
そもそも天草は研磨と同じクラスで、ゲーム友達らしいし、引っ込み思案な研磨の数少ない友達と思えば苦ではない。
だが、最近の2人はあまりに距離が近い。ご飯も一緒にたべたり、寝る前に一緒にベンチでスマホしてたり、一緒に片付けしたり…
「あーあ…」
「珍しい、そんな黒尾見たことないな」
「基本的に俺はポーカーフェイスなのよ」
「木兎は詐欺師って言ってたな」
「失礼だよな、アイツ」
ニィ、と笑うと、澤村は苦笑しながらプレースタイルもそんな感じだよ、と言った。
それからこうも。
「まぁ、天草がどう思ってるにしろ、結局は黒尾次第なんじゃないのか?」
「ワォ、澤村君言いますねぇ」
「そりゃどーも」
そんなことを話していると、ピピーッとホイッスルが鳴った。試合は梟谷の勝ち。ぞろぞろと食堂に向かう中、研磨と並んで歩く天草の姿に、胸がちくりとした。