Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第3章 ☆黒猫の慧眼:黒尾
そして現在、冷や汗を流しています。目の前には目を期待に輝かせる大きな男子が2名ほど、その背後に黒のオーラを出す男子がこれまた2名ほど。
「クロ、マネージャーやってくれる子、クラスから連れてきたよ」
「研磨、でかした!」
わっしゃわっしゃと孤爪君のプリン頭をかき混ぜる、トサカ(?)の人。この人がさっき孤爪君の言っていた主将さんなのだろうか。
「えーと、ごめん、名前いい?」
『は、はい。天草星菜です』
「一応、バレー経験者みたいだよ」
孤爪君よけいなことを!などとは言えず、そぉかそぉかと喜ぶ主将さんに苦笑い。
「俺は黒尾鉄朗、主将やってる。で、そこのハーフがリエーフ、犬岡、芝山で1年な。3年は俺と海と夜久。2年は研磨、福永と山本」
『人数、少ないんですね』
「あー、まぁな」
しまった、これこそよけいなことだったか。だが部員たちを見、それから黒尾さんは満足そうにニッと笑った。
「でもこれが、俺の描いてた理想の音駒なんだよ。たぶん、お前の思ってるより強いぞ」
『黒尾さんの、理想…』
わいわいと賑やかな部員たちを私も見る。きっとみんな、一癖も二癖もある。そんなメンバーを黒尾さんは、最高だと言うのだ。
「お前…あーっと、天草のお陰で今まで雑用だったヤツもバレーに集中できるようになるわ。んじゃ、これからよろしくな!」
そう言い、右手を差し出す黒尾さん。爽やかに笑う黒尾さんは、誰よりもバレーと仲間が好きな人の目で。おずおずとその手を取り、それから私も笑った。
『あの、よろしくお願いします』
「おっし!じゃあお前らも、挨拶ー!」
「「「おなしゃーっす!」」」
みんなの声なんて、届かなかった。
目の前の黒尾さんの両の黒目に、磁石か何かのように引かれ、目を、逸らせなかった。