Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第3章 ☆黒猫の慧眼:黒尾
【天草 side】
偶然同じクラスで、偶然隣の席で、休み時間にやっていたスマホゲームが偶然同じだったという理由で仲良くなった孤爪研磨。
孤爪君はゲームが上手で、その指さばきは神レベル。だからクリアできないステージなんかはよく手伝ってもらった。
ある晴れた昼休み、いつものように屋上でお昼を食べてゲームに興じていると、スマホ片手に孤爪君はポツリと呟いた。
「天草って、部活とか…」
『んー、やってないよ。中学はバレー部だったんだけど、こう、いかにも体育会系な雰囲気だったから、溶け込めなくて…』
「そっか…」
その話題はそこで終わり、そう思ったのに、孤爪君は言葉を続けた。
「じゃあさ、うちで…バレー部でマネージャーとかやってくれたり、する?」
『マネー、ジャー?』
孤爪君はスマホから目を離し、私をじっと見てくる。女の子に見えるくりん、とした可愛い目に負け、気付けば首を振っていた。縦に。
「ほんと?」
『う、うん…あの、学校にも慣れたし新しいことをやってみても良いのかな、なんて』
「ジャージ、ある?」
『えと、ロッカーに常備してあるよ』
「じゃあ放課後、行こうか」
『どこに?』
そう訊くと、孤爪君は滅多に見せないような自然な笑顔を浮かべた。
「部活、来るでしょ?」
『うんっ!』
そうして幾つもの偶然の先、私はバレー部に見学に行くことになった。
その放課後、更衣室で学校指定のジャージに着替えてから体育館に向かうと、既にバレー部が練習を始めていた。
『孤爪君、1つ訊きたいんだけど…』
「なに?」
『その、部活の雰囲気って…』
同じ失敗は、したくない。同じ後悔は、したくない。そんな私の思いを汲み取ったのか、孤爪君は、心配要らないよと言った。
「おれみたいなのでも大丈夫だからさ。きっと、天草も平気だよ。それに、キャプテンがおれの幼馴染みなんだ」
『そっか、よかった』
孤爪君と2人、安心したように笑った。