Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第17章 ★両片想い、実を結ぶ。:白布
「その、サンキュ、な……」
一気に言えばよかったのに、単語ごとに区切ったせいか無性に恥ずかしい。プイと天草から顔を逸して頬を掻くと、クスクスと笑う声がした。
「お前、笑っただろ」
『わっ、笑ってなんかな、っいです!』
「声が震えてんぞ」
『だ、って……』
俯いて耳を赤くする天草。『怒りませんか?』と問が飛んできたので、「言わないと怒る」と脅した。するとモルハムは、俺を見、もじもじしながら言った。
『白布先輩が、その…か、かわいくて……///』
「………は、お、俺が!?」
『お、怒んないって言ったじゃないですか!』
「バカ、内容によるだろ!ンなもん!」
言ってしまって、しまった、と後悔した。強く言い過ぎた。案の定モルハムはシュンとして落ち込む。
「いや、その、あれだ。俺なんかよりお前の方が全然可愛だろ」
『え、ホントですか!?』
しまった。今度こそしまった。ダメだ、落ち着け俺。テンパって焦ると余計なことまで言ってしまう。平常心、平常心だ。
そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、天草はニコニコ笑顔でこう言った。
『んー、でもやっぱり白布先輩もかわいいです』
「あのなぁ、男に"可愛い"はないだろ」
喜ぶのなんて、五色くらいだろ。
『んー、じゃあ…白布先輩"かっこいい"?』
「っ///」
小首を傾げて天草が俺に訊く。特に深い意味はなく言ったのだろうが、天草の口から出た言葉だと思うと、どうしてだか心がざわめく。
クソ、完全にこいつに惚れてんじゃねぇか。
それによく考えてみれば、今ここに2人しかいない。夜の学校、密室、そして好きになった女子とくれば、もう、アウトだ。いくらそういう類のことへの興味が薄いといえども、俺だって男子高校生。欲はある。まだ平気なうちに、ここを出なければ。
「もういいだろ。帰るぞ」
『はいっ』
椅子から立ち上がり、ドアへと向かう。が、
『わ、っとと、きゃあっ!?』
「天草っ、う、ぉ!」
ガタン、と椅子の倒れる音がして振り向いてみたら、天草の体勢がぐらりと傾いている。前傾姿勢のまま倒れてくる天草に腕を伸ばし…
どさり
俺を下敷きにそのまま床へと倒れ込んだ。