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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第17章 ★両片想い、実を結ぶ。:白布


 

えっと、これはどういう状況だ。ほとんど人気の無い校舎を白布先輩に手を引かれ、向かう先は保健室。辿り着いたそこは無人だった。

電気を付けた白布先輩に、パイプの丸椅子に座るよう言われ、ちょこんと腰掛ける。入学後初めて来た保健室は、中学の物よりも広く、充実している気がした。


「ほら、こっち来い」

『はい…』


腕捲くりしていた右腕を直撃した白布先輩の放ったボール。あまり痛くなかったけど、時間が経ったからかヒリヒリしてきた。白布先輩に促されるまま、保健室内の水道で患部を冷やす。たっぷり3分、水で冷やした後、また椅子に戻った。

白布先輩がどこからか包帯と湿布を持って、隣の椅子に座る。それからタオルで水気を取り、湿布を貼り、包帯を巻き、一連の手当をしてくれた。終始無言だったけど、先輩と同じ空間にいるのが嬉しかった。


『すみません、ありがとうございます』

「元はといえば俺のせいだろ」

『いえ!わたしの運動神経が悪すぎるんです』


そう言って苦笑する。そんなに速いボールじゃなかった。普通なら、避けられただろう。単にわたしの運動神経が鈍すぎるだけだ。白布先輩が気に病むことではない。

渋い表情の白布先輩。おもむろに手を伸ばして、そっと腕をさすってくれた。


「痛いか…?」

『少し、少しだけ、ヒリヒリします』

「見た感じ内出血とかは無かったな。もし悪化するようだったら教えろ」

『はい』


そんなに責任を感じなくてもいいのに。そう思いながらも、白布先輩が気にしてくれたことが実はものすごく嬉しい。

いつもは何があってもツンとすましているけど、時々優しくなったり、心配してるのが分かるとすごく嬉しい。


「今日……」

『今日?』

「部活でテーピングしてくれたろ」

『はい。それが何か?』


もしかして下手だったとか?練習に支障が出てしまったのなら、わたしの失態だ。謝ろうかと思ったが、それはただの杞憂に終わった。


「お礼、言ってなかったよな」

『おれい?』

「その、サンキュ、な……」


モゴモゴと、口の中で小さく呟く白布先輩。なんということだ。いつもはクールな白布先輩が、すぐ隣で若干少し照れてるではないか。

なんとも言えぬ幸福感が胸からじんわりと広がる。顔をうっすら赤くして頬を掻く姿がなんだかかわいくて、クスリと笑みをこぼした。


 
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