Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第17章 ★両片想い、実を結ぶ。:白布
五色君に頼まれて引き受けたバレー部のマネージャー。ようやく慣れてきた最近、どうしても気になってしまう人がいる。
2年なのにスタメン、堅実なセッターとして先輩達からの信頼も厚い、白布先輩だ。
週末にある大学生との練習試合に向けて調整を進める今日は、川西先輩や天童先輩とクイック―――速攻の練習に熱を入れてる様子。ああ、その気怠げな雰囲気、でもバレーに真剣な目、かっこいい。
結局、話し掛けることができたのは、テーピングをしたその時だけだった。足りない。需要に対して圧倒的に白布先輩の供給量が足りない。
『ふぅ……』
ほとんど一目惚れだった。マネージャー初日、みんなが片付けを終えてもまだ残っている人がいた。それが白布先輩。部に入って日にちの浅い五色君の為に、わざわざ残って練習に付き合っていたのだ。
バレーに対する真摯な姿勢、そして分かりにくいながらも後輩に対する優しい姿勢。白布先輩を目で追うようになるのには、そう、時間は掛からなかった。
『今日もかっこよかったなぁ…』
特にあれ。牛島先輩にオープントスを上げてたところ。牛島先輩がアタックに入りやすいよう、ボールの高さや速さを細かく調整していた。生易しい、簡単なことではないだろうに。
『せめて同い年だったらなぁ……』
もし同じ学年だったら、もし同じクラスだったら。そう思うだけで、胸がときめく。きっと部活では見せない顔だってあるだろう。ああ、もし席が隣だったなら、宿題を見せてもらったり、教科書忘れたら机くっつけたり。そんなこと、できただろうな。
大人になれば、1歳なんて差にならない。でも今は、高校生として青春を謳歌する今は、たった1年のその差がすごく恨めしい。
そんなことを考えながら、ぺしょぺしょのボール達に空気を入れていく。今日の仕事は、これで最後だ。
『よし、終わったー!』
器具室に1つだけある窓の外は、とっぷり日が暮れて暗くなっている。そろそろ帰らないと。そうして器具室を出ると、誰もいないと思った体育館には人影があった。
その正体は、バレーボールを片手にオーバートスの練習をする、白布先輩だった。