Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第15章 鈍感少女の青春記録Ⅲ《青城》
『……んかって…………すか…』
「あ"、聞こえねぇ」
『バレーなんかってなんですか!?』
顔を上げ、京谷さんをキッと睨みつける。少しはたじろいだ京谷さん、でもすぐに上から見下ろしてきた。
「文字通りだろ。あんなクソみたいな……」
『そんなこと、言わないでください!及川さんも岩泉さんもみんな、バレーが好きで頑張ってるんです!だからっそんな人達のことまで悪く言わないでよっ!』
「ぐっ……」
京谷さんが言葉に詰まった。
『京谷さんだって、バレーやってたんでしょ?それ、足首に包帯巻いてるのって挫いたんですか。まだバレーやってるってことですよね、そうですよね!?』
「うるせぇ、黙ってろ……」
喉から絞り出すような声。苦しいんだ、京谷さんも。
『バレー、まだ好きなんですよね。だったら部活、来てください。私、待ってますからね』
「…行かねぇよ」
『いいえ、明日、ちゃんと部活に来ます』
「行かねぇっつってんだろ!?」
『じゃあ来てください!お願いです!』
みんな、待ってるから。京谷さんのこと。及川さんと岩泉さんに話を聞いたとき、感じた。及川さんは、きっとトスを上げるのを楽しみにしてる。岩泉さんは、きっと同じコートに立つのを楽しみにしてる。
矢巾さんも、渡さんも、歯切れは悪そうだったけど、心配してるのがすごくわかった。だから、
『いつまでそうやって、自分のワガママで部員に迷惑かけるんですか!?退部届けも出してないなんてっ、未練たらったらじゃないですか!それでも男ですか!?』
「んだとっ!?」
『キャッ!』
しまった、最後の一言余計だった。そう思った時には京谷さんが動いていて、ドンッと突き飛ばされた。そのまま後ろ向きに倒れた私に、京谷さんが馬乗りになる。
おっとぉ、これはかなりマズいぞ。
あれだけ大口叩いてきたのに、逃げられないし。
『あ、あの、京谷さ……』
「犯すぞ」
『っごめんなさ、やだ、ごめっ、なさい!』
「誰が許すかよ」
そう吐き捨てると、ゆっくりと近付く京谷さんの顔。やばい、やばいやばいやばい、キスされる。あと数㎝で、唇が触れる。京谷さんの目はもう、本気で。今更ながら後悔した。
せめて見ないようにと、ぎゅっと目を瞑る。京谷さんの息遣いを間近に感じたその時、
「みゃあ」
救世主が現れた。