Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第15章 鈍感少女の青春記録Ⅲ《青城》
翌日から2学年のフロア、及び京谷さんのクラスを中心に聞き込みを始めた。初めはみんな変な顔をしていたが、バレー部のマネージャーだということを明かすと、すぐに色々教えてくれた。
「京谷?最近は学校きてる方じゃないかな。週に2,3日は見るし。多い週は毎日いるよ」
「よく屋上でサボってるってウワサだよ」
「京谷ぃ?そういえばいたね。でもクラスじゃあんまり話さないなぁ。雰囲気が近寄りがたいし、それに見た目も不良だし…」
「あ、前に理科準で寝てたよ?」
なんか刑事みたいだなぁ、と思いつつ、京谷さんにまつわる話を訊いて訊いて、訊きまくる。
整理する限り、登校するのはまちまち。しかも遅刻や早退はしょっちゅう。だから会おうとしたら運がいる、とある人は言った。
決定的な情報を耳にしたのは、聞き込みもまだ初日の、放課後のことだった。
「京谷君なら、この前見たよ」
『どっ、どこでですか!?』
「学校からすぐそこの空き地でね、ノラネコと戯れてたの。しかもネコも懐いてたんだよね」
『懐いてたんですか!?』
思わず訊き返す。今までに聞いた話からだと、京谷さんは不良で取っ付きにくい、堅物のイメージしかない。そんな人がネコと…?
教えてくれた先輩にお礼を言い、部活に向かう。矢巾さんと渡さんに事の次第を話すと、怪訝な顔をして、こう言った。
「京谷が?ネコと遊んでたぁ!?」
『はい。しかも懐いてるって』
「そんなことあり得るか?」
『でも、よく目にするってその人は……』
う~んと3人で考える。もし本当なら、その空き地とやらに行けば高確率で会える。気がする。
「じゃあ及川さんにも訊いてみるよ」
『お願いします!』
矢巾さんがそう言った時、岩泉さんが「集合!」と号令をかけた。そうして始まった部活。マネージャーの仕事はたくさんあって、動き回っているうちに京谷さんのことはすっかり忘れてしまっていた。