Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第14章 ★桜の季節∶花巻
重なった熱は一瞬ですぐにほどける。星菜の微かな吐息が聞こえる。口が動き、何かを発する。上手く聞き取れなくて訊こうとしたら、今度は星菜から唇を塞いできた。
『……っん、貴大………』
公園で、しかも白昼堂々キスをするのはどうかと思った。でも、したいのだ。仕方ないだろ。
ちゅっちゅと可愛いリップ音をたてながら、何度も唇を合わせてくる星菜。後頭部に手を添え、ついでに腰にも手を添え、ガッチリ固定する。
ずっと唇を塞いでいると、苦しくなったのか星菜がうっすらと口を開けた。その隙きに強引に口内に舌を捩じ込んだ。舌を絡め、貪るようにキスをする。
『んぅ……ったか、ひろぉっ………ふ、っ』
ヤバい。声だけなのにエロくて勃ちそう。唇を離せばハァハァと荒い星菜の息。まず正気を保てない。
「俺んち、行くか?」
頼む、今なら間に合う。断ってもいいから。そう思ったが、星菜は首を縦に振る。それで完全に理性がどこかへブッ飛んだ。
「ヤダっつっても帰らせないかんな」
『ん……』
星菜の手を取り、3年間通った通学路を歩く。お互い無言で、何も言わない。でも時折、星菜の握る手の力が強くなって。それだけで、抱きしめたい衝動に駆られる。
いつもそうだ。星菜の前だと調子が狂うからわざとふざけてみせて。でもそれも、終わりだ。
『貴大』
「何?」
『なんでもなーいよっ』
繋いだ手をぶんぶん振りながら、はにかみながら星菜が言う。
『たっかひーろくんっ』
「今度は何?」
どうせ同じだろう。そう思った俺に、星菜は予想外の爆弾を放ってきた。
『好きだよ』
足が、止まる。ん?と振り返った星菜を、周りも見ずに抱きしめる。身を竦めた星菜だったが、俺に止める気がないと知ると観念したように身を任せてきた。
「そーゆーこと、なんで今言うのかな…」
『だって、このまま流されるのイヤだったから…ちゃんと気持ち伝えておきたかったの』
「言っとくけど、俺のがぜってー好きだからな」
『はぁ?女子の片想いナメないでよね?』
顔を見合わせて、笑う。今日、俺達は、幼馴染みも高校も、卒業できた。