Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第13章 ☆プロポーズ大作戦:岩泉
で、レストラン。予約してある席は、端っこの夜景が見える特等席。案内されると、星菜はすぐに窓に駆け寄った。
『わあぁ……すごい、きれぃ……!』
「だろ」
『でも、ここってお値段高いんじゃ……』
「たまにはいいだろ。な?」
星菜は小さく微笑んで、それからイスに座った。少しして運ばれてきた料理。前菜から何から、ウマいし綺麗だった。メインは白身魚の何とかで、それに見合ったワインもある。でも味なんてちっともわかんねぇ。
ナイフとフォークを丁寧に扱う星菜の姿は、どっかの有名な絵からそっくりそのまま取り出したみたいに、美しく見えた。
食べ終わるとナプキンで口元を拭い、そっとワインを口に含んだ。やっぱり味は曖昧だ。
会計を済ませ、車に向かう。助手席に座ると、星菜はうーんと伸びをした。
『美味しかったねぇ』
「だな。でも」
『でも?』
「俺は星菜の料理のが好きだわ」
『…すっごい殺し文句だよ?』
少し頬を赤らめながら、はにかむ星菜。そっと口付けて、車のエンジンをかけた。
「最後、寄り道していいか」
『うん。どこに行くの?』
「着いてからのお楽しみ、な」
『うんっ!』
流行りのJーPOPの流れるなか、向かう先は東京湾。思えば告白したのも、海の綺麗な夜だった。レインボーブリッジの綺麗に見えるスポットを目指して、車を走らせる。
「着いたぞ」
『っわぁ……すごい……っ!』
路上に車を停め、降りる。星菜は歩道の端の柵から身を乗り出すようにしている。わぁっ感嘆の息を漏らすと、そのまま景色を眺める。
「海、好きだって言ってたろ」
『うん。ありがとうハジメくん。今日ね、すっごい楽しいデートだったよ!』
キラリと光を反射する、星菜の目。そっと頬に手を寄せ、口を開く。
「ならさ、最高のデートにしてやろうか?」
『え、どういう意味……?』
手を離して跪く。ポケットに忍ばせていた小さな箱を、そっと開いた。星菜の目が、驚きに見開かれる。
何度も何度も考えた言葉。ごてごてに着飾った言葉より、シンプルに、届くように。
「星菜、この先ずっと、星菜に隣で笑っていてほしい。だから俺と、」
結婚してください―――