Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第13章 ☆プロポーズ大作戦:岩泉
『ん~!甘ぁい!美味しい!』
「そらよかったわ」
星菜が頬張るのは、秋のこの時期限定の、マロンソースと生クリームたっぷりのふわふわパンケーキ。俺にしたらホットケーキと何が違うんだ、と言いたいところ。
『ハジメくん、これでお腹いっぱいになる?』
「おう。さっき映画館で色々食ったしな」
『そっか、ならよかった』
そう言ってパクリ、パンケーキを頬張る。自分だけじゃなくて、いつも俺のことも考えてくれる。こういうところも、好きだ。
あとはこの顔。甘いもんを心っから幸せそうに食う。ほっぺにチョンと付いたクリームも、艶やかな唇も、堪らなく愛しい。
『ハジメくんもよかったらどうぞ?』
「じゃあ貰う」
『はい、あーん』
「あ、あー……///」
もぐもぐと咀嚼する。あ、ウマい。少しの羞恥心を感じながら食べていると、星菜がクスクスと笑っているのに気付く。
『あのね、こうやってあーんってするの、実は夢だったりするんだ。楽しいでしょ?』
「なら俺のもやるよ。ん」
『あーん。こっちもいいね』
ふふふ、と星菜は笑う。こいつの笑ってるとこ、一番好きだ。そう思ってる自分を客観的に見る。あれ、俺ってかなり重症…?まぁ、可愛すぎる星菜が悪いな。
その後は星菜のショッピングに付き合った。ちょうど冬物の売り時で、コートやセーターなんかがたくさん売られていた。
『あ、これいいなぁ。ハジメくん、どう?』
「似合ってんじゃん」
『んー、買おうかな…』
「買っちゃるよ?」
『ダメ、待って!本当に着るか考えるから』
3着の服とにらめっこする星菜。及川なら全部買うだろうが、星菜の1つの物を大事にするところ、ここも好きなところ。
やがて1つに決めたようで、ニコニコしながら服を持ってきた。白と黒のボーダーニット。
『これにする』
「俺もそれがいい。じゃあレジ行くか」
『あ、自分で払うよ?』
「いいよ。デートの記念。な?」
少し考えて、星菜はありがとうと笑った。男が服を買ってやるの、脱がせたいからってこと知らないのかな、と思いつつ、隣でニコニコの星菜に、俺も笑った。