Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第13章 ☆プロポーズ大作戦:岩泉
花巻や松川は色々考えてくれた。ネットから引っ張ってきたり、友人の話を持ち出したり。でも、どれもしっくり来なかった。
「なんか、違うんだよな…」
「う~ん、俺も岩ちゃんがサプライズとかするところは想像できないなぁ。だって岩ちゃん、顔面からしてそんなキャラじゃないし」
「及川、脛とケツ、どっちか選べ」
「それ蹴るの?ねぇ蹴る気だよね!?」
ぎゃーすか騒ぐ及川を無視して、ビールを一気にあおる。だからといって、アルコールの回った頭が良いアイディアを生むとは到底思えない。雰囲気も、ただの飲み会に化した。
「……なぁ、思ったんだけどさ、無理にサプライズしなくてもいいんじゃねぇの?」
軟骨の唐揚げをつまみながら、松川が言った。その一言に、及川が食い付いた。
「まっつん、それどーゆー意味?」
「いやね、及川も言ってたけどさ、岩泉ってサプライズとかそんなガラじゃないじゃん。それにプロポーズ自体がサプライズになるんだから、別に変に凝らなくても…」
「「いいね」」
及川と花巻がハモる。バッと3人が振り返り、俺をじっと見詰める目が、照明の光を反射してキラキラと輝いている。
「正統派でいこうよ!」
「ちょっとイイトコのレストラン予約して、ドライブして夜景見て指輪渡すとか!」
自分達で言いながら、あれもこれもとわいわい騒ぐ2人を見ながら、松川は言った。
「俺、知り合いにレストランやってるヤツいてさ。その辺含めて頼んでおくわ」
「じゃあ俺はデートコース探っとくな」
「幼馴染みとして、指輪のデザイン選ぶね」
「お前ら……マジでありがとうだわ」
今更だけど思う。本当に良いダチを持った。こんな友人、そうそういない。ここまで俺のことを考えてくれる人は、いない。
「明日…はダメだから、明後日の終業後に指輪見に行こっか。及川サンのオススメに、岩ちゃんを招待してあげるよ~☆」
「最後の星がウゼェ、サンキュー」
「どっちだ!?」
そうして、3人の協力を得て、俺のプロポーズ大作戦(及川命名)が始まったのだった。