Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第13章 ☆プロポーズ大作戦:岩泉
そして翌日。仕事終わりに早くも及川が召集をかけた。いつもの居酒屋、いつもの席に向かうと、1冊の雑誌を真剣に見るヤロウ3人。
「遅くなった、悪ぃ」
とりま生で、とおばちゃんに言い、及川の隣に座る。そして、雑誌を見、吹いた。
「なんッでお前らゼクシィ読んでんだよ!」
「何でって、メジャーだべ」
「"プロポーズされたら、ゼクシィ"ってな」
「違ぇよ、俺がすんだよ!」
さらりと言ってのけた花巻と松川に檄を飛ばす。すると及川がまぁまぁと宥めた。
「ちなみにコレ、買ったの俺だよ?」
「クソ川、表行くか」
「ちょ、手鳴らさないで!?」
「テメェの首の骨を鳴らしてやるか?」
「それ折れてる!首の骨折れてる!!」
こんな話をしに来たんじゃないよ!と及川が嘆くので、渋々ネクタイを放した。そして及川はカバンからジャラジャラしたリングを取り出して、俺の手にポンと載せた。
「は?何コレ?」
「指環のサイズ測るヤツ。プロポーズは指環無いと始まんないでしょ?だからだよ」
及川に言われて、初めて気付く。俺、結婚についてとか何も知らねぇ。
「及川、花巻、松川。友人として、頼む。プロポーズすんの、手伝ってくんねーか?」
3人で顔を見合わせ、それからにっと笑う。
「幼馴染みだよ?当たり前!」
「エース様の頼みなら、しゃーねぇな」
「俺らにできることなら、何でもするぜ?」
「……マジで、サンキュな」
そこにでんっ、とビールが来て、いい雰囲気だったのが突然崩れる。それすらも可笑しくて、げらげらと笑った。涙が浮かんだのは、きっと笑いすぎだ。たぶん。
「で、どんなことしよっか」
「花束渡して、とかじゃねーのか?」
「うわ、つまんなっ!?」
大袈裟に仰け反る及川。イラッとしつつも、分からないから訊くしかない。
「じゃあ、どんなのがいいんだよ」
「そうだなぁ……サプライズでもしてみたら?街を歩いてたらいろんな人が踊って、最後に岩ちゃんがジャンッ!て指輪渡すとか」
「へー、なんか、すげぇな」
正直ナメてた、プロポーズ。
「ま、その辺はみんなで考えようぜ」
「だね。さ、食べよ食べよ!」
届いた料理を食べ始める。星菜、どんなの喜ぶんだろ。いくら食ってもいくら飲んでも、あんまり味がしない気がした。