Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第12章 ★あなたの温度:菅原
菅原さんの家は、私の家より少し遠い。住宅街を歩き、曲がれば私の家がすぐそこの角に差し掛かったところで、菅原さんが止まった。
『どうかしましたか?』
「さっき、さ、田中と何話してたの?」
『大したことじゃないですよ。菅原さんが今日は両親がいないとか、そんな程度の……』
そう言うと、菅原さんの肩がビクッと分かりやすいくらいに跳ねた。それから、困ったような笑みを浮かべて振り向く。
「うわー、マジかぁ。そっか、田中と西谷あれ言っちゃったんだ……そっかぁ……」
はあぁとため息を吐く菅原さん。頭を抱え、うーと唸りながら髪をくしゃくしゃにし、その場にしゃがみ込んでしまう。さっぱりわけが分からず、私は首を傾げた。
『?』
「あのさぁ、まぁ今日はうちに両親がいないわけなんだけどさぁ…その、来る?」
『え?』
「俺ん家、来る?」
『行ってみたいです!』
にこっと笑うと、菅原さんは今度こそ安心したように笑った。そうして手を繋ぎ、家を通り過ぎて菅原さんの家に向かう。
これって俗に言うお家デート?ていうか私ジャージじゃん。なんだ、制服の方がよかったなぁ、ジャージじゃ可愛くないし。
そんなのんきなことを考える私の頭。だから菅原さんがちょっと緊張してたのも、これから起こるであろうことも、何1つ知らない。
『お、おじゃましまーす』
「堅くなんなくていいよ。それよか、腹減ったべ?母さんが作ってくれてるはず……」
ぽいぽいと靴を脱いで部屋に向かう菅原さん。靴を揃えて、もう一度小さくおじゃましますと言った。とてとてと後を追うと、リビングからひょっこり顔を出した菅原さんは、カレーだったよ、とにかっと笑う。
それから手を洗って晩ご飯を食べた。食べなれてるカレーでも、菅原さん家のカレーなんだと思うと少し新鮮で、いつもよりも美味しく感じた。もっとも、菅原さんが一味唐辛子をドバドバかけてるのには心底驚いたけど。
「はー、んまかったな~!」
『はい、美味しかったです』
「ただのカレーだって。そーだ、俺の部屋行こっか。あんまり物はないけどな」
『あ、中学のアルバムとか見たいです』
「お、いいぞー。見したる見したる!」
にししと笑う菅原さんにつられて、私もえへへと笑いを漏らした。