Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第12章 ★あなたの温度:菅原
明くる日曜日。お昼過ぎから部活のため烏野高校に向かうと、体育館からはボールの弾む音が聞こえてきた。そこには既に練習を始める日向達1年生4人の姿。
「月島ッ、なっ、なっな、ナイス……」
「チョット王様、違和感ありすぎ-w」
「影山クン、挙動不審ですな」
「るせぇ日向、ボゲェ!」
「なんておれだけ!?」
「ま、まぁまぁ落ち着いて…」
賑やかさは田中達がいない分いくらかマシだったけど、それでも賑やかだ。お疲れさま、と声を掛けると、ちわーっすと返る。
それからぞろぞろと部員は集まり、ゲーム形式での練習が始まった。昨日の試合での反省点も含め、ゲームを進める。
『仁花ちゃん、これお願いね』
「了解であります!」
「2人とも頼もしいね。これなら私が卒業しても安心して任せられるな、みんなのこと」
「『潔子さん……』」
極上のスマイルを浮かべる潔子さんに、仁花ちゃんと一緒になって思わず拝む。するとそれを遠くから観察する人が約2名ほど。
「見よ!我等が天使達の姿ッ!」
「おぉ、神々しい……お美しいッ!」
「「『……………』」」
「「ガン無視も最高ですッ!!」」
はふーん、と悶える田中と西谷を、菅原さんが恐怖すら感じる笑顔で諭す。大地さんに怒られて正座する2人の姿に、懲りないなぁと小さく苦笑するのだった。
部活の後、一緒に帰ろうと菅原さんに誘われた。いつものことだから特に何も気にせずに待っていると、田中と西谷がニヤニヤしながら近付いてきた。
『なに、気持ち悪いなぁ』
「天草、スガさん待ちか?」
『そうだけど、なんで?』
私達が付き合ってるのはバレー部公認なので、特に気にも留めない。そう答えると2人は顔を見合わせ、それから一層ニヤリとする。
「スガさん、今日家に両親いないってさ」
『それが、どうかしたの?』
「っ!……いや、別に?」
「タノシンデクダサイネー」
そう言い残すとそそくさと帰っていく。まったく何がしたかったんだ、急に帰るし。そう思ったら、後ろには菅原さん。
「ごめんお待たせ。大地と話し込んじゃって」
『大丈夫ですよ』
「うっし、帰るべ!」
ん、と差し出された左手に、そっと手を重ねる。指と指を絡めて歩く私達を、月明かりがそっと照らし、寄り添うように影ができた。