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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第10章  アヤカシとわたし《第3体育館組》




ふおぉと歓喜の声を漏らすわたし。それを喧しいと煙たがる蛍。じゃれ合いにも見えるその光景に、赤葦さんがからかったように言う。


「やっぱり蛍、星菜さんのことがお気に入りなんじゃないの?」

「ちょっと赤葦さん!」

『嬉しい~、蛍ありがとお!』

「バカ、ヒトの臭い移る!」


嫌がる蛍に構わず抱き付く。赤葦さんが優しく見守る。わたしにも、友達ができたって。そう思ってもいいのかな、蛍?赤葦さん?

騒いでいると、羽音と猫の鳴き声が聞こえた。振り向けば、梟と2匹の猫。それらは一瞬の瞬きの間に人の姿へと変わっていた。


『え、っは、あ、妖怪…?』

「あかーし!ひっさしぶりー!」


驚くわたしを他所に、梟から変化した髪の毛ツンツンの青年が、赤葦さんに飛び付く。それをさらりとかわした赤葦さんは、猫から変化した人たちの元へと向かう。


「こんにちは。久し振りですね」

「よっす、赤葦」

「こんちわー!」


黒猫だったのが軽く手を挙げ、グレーの毛並みに緑の目だった猫が元気に挨拶をした。なんなのかな。みんな、知り合い?


「星菜さん、紹介しますね。ここに居座ってるやつらです。尻尾が周りよりも黒いのが黒尾さん、グレーに緑の目の猫が灰羽、それとこの五月蝿い梟が木兎さんです」

『ど、どうも……』

「「こんにちわー!!」」

「カワイイねー、赤葦の彼女?」


灰羽と木兎と呼ばれた2人が元気な挨拶をする。黒尾という男の人だけは、からかうように彼女なのかと言ってきたが。


『赤葦さん、黒猫さんと梟さんには敬語?』

「あぁ…彼等は俺が小さい頃から裏の森に住み着いてたみたいで。一応センパイ。灰羽は後からヒョッコリ来たんだけどね」

『ふぅん…』


訊けば、裏の森はアヤカシにとっては過ごしやすいらしい。一種の溜まり場のようになっているとか、いないとか。そんな具合に赤葦さんと話していると、後ろが騒がしい。


「あ、ツッキーイチゴ喰ってる、ずりー!」

「星菜が僕に買ったやつですよ!」

「いいじゃん、ひとくちー!」

「ダメったらダメです!」


イチゴを持って逃げる蛍を、木兎さんが追う。わぁわぁ言いながらも、蛍は楽しそうだからヨシとしようではないか。イチゴのパックがぶっ飛んで散らばり、赤葦さんの雷が落ちるのは、もうすぐのこと。


 
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