Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第10章 アヤカシとわたし《第3体育館組》
翌週の日曜、約束通りあの神社に向かう。途中、商店街に寄り道。お土産でも買っていこうと思い、ふと立ち止まる。
『キツネって、好物何?』
油揚げ…かな。いやでも、動物だし野生なら果物とか食べたりするのかな…でも蛍はお饅頭食べたし、意外と甘党だったりする…?
『いーや。てきとーに買ってこう』
通りかかった八百屋さんでイチゴを1パックと、木葉亭のお饅頭をまた買った。袋を手に下げて神社に向かう。坂を登りきると、鳥居の前にちょん、とキツネが。
『あれ、蛍、お迎えですか?』
クスリと笑って言う。返事の代わりに蛍は尻尾を1振り、それから階段を駆け登る。慌ててその後を追う。もう、蛍の姿は見えない。ようやく石段を登りきると、いつもの格好をした蛍と、赤葦さんがいた。
「遅いね。ニンゲンってみんなそうなの?」
「こーら。星菜さんに失礼だよ」
『いいもん。お土産は赤葦さんと食べるっ』
赤葦さんの腕を取り、石段に座る。袋から出したお饅頭を食べる。と、背後から視線。振り向けば、不機嫌そうな顔をした蛍。
『もぉ、イチゴもあるよ?』
「ん……」
短く返事をし、蛍は隣に座った。イチゴを丸々あげると、じっとこちらを見てくる。
「これ、全部僕に?」
『うん。あれ、もしかして嫌いだっ…』
「じゃない。嬉しい。アリガト」
素っ気なく言うと、蛍はイチゴをパクリと口に入れた。1つちょーだい、とイチゴを摘まみ、口の中に放り込む。甘酸っぱいイチゴの風味が、口いっぱいに広がった。
『あまっ、うまっ!』
「チョット、大袈裟なんだケド」
『本当に美味しいんだから別にいーじゃないのよぉ。ねー、赤葦さん?』
「いや、俺に振らないでください」
「星菜、フラれてやんの~」
けらけらと笑う蛍。その姿に、わたしは手を真ん丸に見開いた。怪訝な顔の蛍と目が合う。
「ナニ?」
『笑った……蛍、笑ってる!』
「そりゃ僕も笑うよ」
『あと名前、名前で呼んでくれたっ!』
「ハイハイ、ソーデスネ」
なんか、すごく嬉しい。あれだよね、ずっと避けてた猫がなついてくれた的な。