第9章 君と一緒に………
安「お願いやから…何か言うて……?
怒ってもええし…文句でもええら…
たくさんまいのこと傷付けて…
たくさん泣かせて…
許してほしいとか
そんなこと図々しくて言われへん……
でも…それでも俺は…………
まいに側におって欲しい…
手の届く距離にいつもおって欲しいし…
俺のとなりで笑っといて欲しい…
頼むからさ…
終わりとか言わんといて…?
まいを手放すことなんか
俺には出来へんから…」
私を抱きしめる腕は少し震えていて
章大から零れ落ちた涙の粒が
私の腕に零れ落ちるのを感じる…
抱きしめてあげたいし…
零れる涙を拭ってあげたい…
そう思うけど
あの日章大の腕を掴む女の子の
悲しそうな顔が目の前に浮かんで
動くことが出来なくなる…
「だったらあの子は………?
章大の後ろであの子…泣きそうな顔してた…
私のところに来てくれて
嬉しいよ……?
でも…どうしても素直に喜べないよ…
あの子はすごく切なそうな顔で
章大を見つめて…
今にも泣き出しそうな顔で
章大の腕を必死に掴んでた…
その手を章大は離せるの………?」