第7章 君のために出来ること
まいside
章大の姿が見えなくなるまで…
錦戸さんの手を握ったまま
ひたすら前を向き歩き続けた…
そして…
亮「まいちゃん……ちょっと待って……」
錦戸さんのそんな遠慮気味の声に
やっと立ち止まり
空に浮かんでいたきれいな月を
見上げた…
「錦戸さん…
私間違ってないですよね…………?
これで安田さんのこと…
解放してあげられましたよね………?」
溢れだす涙は止めどなくて
次々に頬を流れ落ちていく…
自分で決めたことなのに
こんなにも苦しくて仕方ない………
亮「そんなん…俺にはわからんわ……。
章ちゃんの気持ちも…
まいちゃんの気持ちも…
お互いに好きなくせに…あほすぎる…
でも…もう…やめたらええよ…
二人とも辛そうで見てられへん……」
「…私もです………。
私も安田さんがあまりに辛そうで……
もうこれ以上見てられなかった…(笑)」
そう言って
溢れてくる涙を拭いながら笑った私を
錦戸さんはまたふわりとその腕で
抱きしめると…
亮「俺には…
まいちゃんのほうが辛そうで見てられへん…
こんなにも傷付いて苦しんでる…
なぁ…俺じゃあかんの……?
俺がずっと……
まいちゃんの側におるから…」
錦戸さんは私を抱きしめたまま
そう耳元で呟くと
ゆっくりと体を離し
私の唇に唇を重ねた……
優しくそっと触れる唇は
大好きな章大のものとは違うのに
なぜだかとても温かかく
傷付いた私を包み込んでくれた……