第7章 君のために出来ること
一人月明かりの下を歩きながら
考えていた…
章大は今何をしてるんだろうと…
何を考え…
誰のことを想っているんだろうと……。
マンションの前に着き
ポケットからスマホを取り出す
電話…してみようか…………?
スマホを眺めながら悩んでいると
人の声が聞こえてきて
急いで建物の陰に隠れると
マンションから出てくる章大の姿が見えて
嬉しくなって声をかけようとした瞬間
女の子の声が聞こえて咄嗟に口を抑えた…
あおい「ねぇ…章ちゃん…
今日楽しかったね(笑)
一緒ににご飯食べて…映画見て…
明日もまた会ってくれるよね?」
安「うん……………」
あおい「嬉しいな…ありがとう(笑)」
そう言ってその子は
章大に嬉しそうに抱きついて…
章大は……
その女の子をそっと抱き締める……
何で……………?
目の前の光景が信じられない………
私はただ
章大の顔が見たかっただけなのに…
抑えた口から嗚咽が漏れる…
熱くなった瞼から涙が溢れだす…
もうこれ以上見たくない…
そう思うのに
目の前で抱きしめ合う二人から
目が離せなくて
苦しくて悲しくて
息が出来ない…
そう思った時
「見たらあかん…………」
そんな声がして
涙で濡れた目を温かい手が
包み込んだ………