第6章 強くて弱い心
まいside
錦戸さんがうちに来た次の日
その日は章大と錦戸さんを
迎えに行く予定で…
私は何事もなかったように
いつも通り章大を一番に迎えに行った…
「お早うございます…」
安「うん…おはよう…」
そんな短い挨拶を交わし
章大は後部座席に乗り込むと
すぐに下を向き目を閉じてしまう…
車を走らせながら
"それでもいい"と
自分に言い聞かせる…
何があっても章大を信じると
決めたから…
もう泣かないと
心に決めたから…
無言のまま車を走らせ
錦戸さんのマンションに着いて
電話を掛けると
それを待っていたかのように錦戸さんは
マンションの入り口から顔をだし
車に乗り込むと隣に座る章大に
"おはよ…"と短く挨拶をし
私の方に顔を向け話し始める…
亮「昨日はあれから大丈夫やった?
ちゃんと眠れた?」
「はい…
昨日はありがとうございました……」
そんな私と錦戸さんの会話に
下を向いたままだった章大は
体をびくっと動かし…
安「…昨日…二人は一緒におったん…?」
そう小さな声で呟く………
亮「そうや…。
まいちゃんが一人で苦しんでるん
見てられへんかったからな…?
何やねん…?
何かいいたいことでもあんの…?」
安「別に…何もないよ………」
そんな章大の言葉に
錦戸さんはため息を吐き出し
亮「結局…章ちゃんは何も説明せんし…
俺がまいちゃんと二人きりでおっても
何も言われへんのやな…?」
そう言葉を吐き出すと
章大を睨み付ける…
車の中に流れる重苦しい空気に
「錦戸さん…やめて下さい……
こういうのは嫌なんです…
嫌なんです………」
もう泣かないと決めたのに
また涙が溢れだしてくる……
こんな風に私の大好き二人が
喧嘩をすることが
耐えられない………
ほんとうに大好きだからこそ
耐えられないんだ………