第6章 強くて弱い心
"この気持ちだけは
捨てられないんだよ…"
そう言って俺の胸の中で泣くあおいを見て
ようやく分かった…
今のあおいはあの時の俺なんやって…
まいに受け入れてもらえない気持ちを
諦めるために
必死にもがき続けて
苦しくて…もどかしくて…
自分じゃどうにも出来なくて…
そんなあおいの姿を見てたら
なんだかすごく痛々しくて
いつの間にか俺は
あおいを抱きしめていた…
「辛いよな…?
ここにある気持ち捨てなあかんのは……
痛いぐらい解るよ…?
解るけど…あおいはそれでええの…?
こんなことして俺を引き留めても…
俺の心は…あおいのもんにはならへんよ?
きっとそれは…
何も手に入れてないときより
辛いことやと思うよ…?」
あおい「……私はそれでも
章ちゃんな欲しい…………」
そう言って俺の背中に
ぎゅっとしがみつくあおいに…
「分かった…
あおいをそこまで追い詰めたんは俺やから…
あおいの側におるよ…?
あおいが俺を諦められるまで…
気持ちにけりつけて
前に進めるようになるまで…
でも…
そこに俺の心は求めんといて…?
俺の心はたった一人にしか向いてない…
それでもあおいは
ほんとにええの………?」
あおい「それでも…いい……
章ちゃんが私の側にいてくれるなら…
約束の印に…キス…して………?」
俺は……
目を閉じ唇を重ねた………
愛情ではなく
哀れみからの…
苦しくて…辛い……
そんな悲しいキスやった…………