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しあわせのかたち

第6章 強くて弱い心


仕事を終えて家に帰っても…


気分は曇ったまま

まったく晴れてはくれなくて



お風呂で汗を流したあと

どんより雲った気分を

少しでも追い払いたくて

冷蔵庫から冷えたビールを取りだし

喉に流し込んでいく…



こうなることが怖くて

進むことをためらったのに…



結局私はこのまま

大好きな章大の笑顔を

失ってしまうのかな…?



あの笑顔だけは

どうしても失いたくなかったのに……



そんなことを考えると

まぶたがまたじんじんと熱を帯びて


一粒ぽとりと涙の粒が

握りしめた拳の上に落ちる…



「弱虫だな…私は…(笑)」


そう一人言を呟きながら

まぶたをごしごしと擦っていると


床に放り出していたスマホから

メールの着信音が聞こえてくる…



無造作に手を伸ばしスマホを引き寄せ

画面に目を落とすとそこには


安田さんからのメールが入っていて…



開こうと伸ばした指が

寸前で止まってしまう…



きっとこれを見てしまえば

答えが出てしまう…



そう思うと

怖くて指が震えてしまう


それでも必死に

メールを開こうと人差し指で画面に

触れようとした瞬間


それを遮るように


部屋の中にインターホンの音が

鳴り響いた…
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