第2章 光忠と口吸い
「…いい子だ」
「あっ…ふ、ぁ…ん…」
素直に唇を薄く開いた私の顔を、少しだけ距離を取っていた光忠がじっと見留めてからまた距離を詰める。一瞬だけ見えた光忠の蜂蜜色に溶けた瞳にゾクリとお腹の奥底が慄いて。
朝の光量に満たされた厨の中では、さぞかし私のだらし無く蕩けた顔がよく見えた事だろうと羞恥心で顔が熱くなったけれど、それすら忘れる程の快楽が私を溶かし始めていた。
「ん……ふ……」
「あっ……んん…っ」
2人して、声にもならない喘ぎ声を漏らしながら粘膜を擦り合わせる。
舌を絡めて、歯列を確かめるように歯茎をなぞられて、頰肉さえも舐られる。
口腔内を隅々まで舐められて、お互いの味を確かめる。性交を彷彿とさせる粘膜の濃密な交わり。
舌と舌を擦り合わせるたびに2人分の粘性の高い唾液が混ぜ合わされて、クチュクチュというといういやらしい音が直接脳に響く。
「っんあ!」
飲み込みきれなくなった唾液を、光忠がヂュッと一度舌ごと強く吸い上げるものだから、与えられた刺激にビクリと身体が跳ねた。
すっかり力が抜けてしまった私は、光忠の肩を情けない力で縋り付くように掴む。と、いつの間にか私を支えるように背中と腰に回されていた腕に、逃さないと言いたげな風情でぎゅうと力が込められた。
「………」
「………みつ、ただ?」
ゆっくりと、ゆっくりと私を解放する逞しい腕と、離れていってしまう唇に、うっすらと瞼を持ち上げて彼の整った、けれども精悍で男らしい顔を見つめる。