第7章 【番外編】Happy Birthday (2017)
食事を終え、今度こそ公園かと思えば、ただ町中をぶらぶらと歩き、洋服を見たりと、いつもと違うデートに変に緊張した。
漸く腰を下ろしたベンチはバスケコートの無い公園。
「ねえ、青峰くん。やっぱりおかしいよ。」
「あ?」
「なんか青峰くんらしくない。」
勿論こういったデートに憧れていたのは事実だし、楽しいけど、なんか違う。
「今日は何の日だ?」
「夏休み最後の日。」
「俺の誕生日。」
「え!?嘘!?」
毎日バスケ三昧で、恋人らしい関係とは無縁だった為、青峰くんの誕生日なんか気にした事も無かったが、青峰くんも人間なんだから誕生日があるのは当然だ。付き合い出した頃は青峰くん夏生まれっぽいなーとは思ったけど、そう思っただけで、誕生日がいつか、なんて尋ねもしなかった。
「てか、誕生日なら尚更なんで!?」
「俺の誕生日を俺がどう過ごそうが俺の勝手だろ。」
「いや…まあ、そうだけど。」
誕生日だって知ってたらもっとちゃんとお祝いしたかったし、青峰くんが喜ぶような事をやりたかった。
「ねえ、青峰くん。今更だけど、なんか欲しい物とか無いの?」
「あ?なんだよ急に。」
「だって…青峰くんの誕生日、ちゃんとお祝いしたいし。」
「欲しいもんはもう貰ったからいい。」
「え?」
「お前の喜ぶ顔見れたからそれでいいって事にしてやるよ。」
その言葉に頬が赤くなった。
「ちょっとやめてよ…そういう事言うの。心臓に悪い。」
今日一日、青峰くんの不可解な行動の理由は、全て私を喜ばせる為だったのかと思うと、嬉しくて堪らなかった。横暴だけど、その行動は全部優しさを持っている。そんな青峰くんが私は堪らなく好きだ。付き合って半年近く経つが、振り回されるのは付き合う前と変わらない。けど、そんな時間すらも愛しい。そう思えてしまう位、青峰くんに夢中だ。