第1章 約束 × 九条天 七瀬陸
「あれ?!天にぃ?!」
「何?陸。」
「え?!何で、何で海ちゃんの家から出てくるの?!何かしたでしょ!!」
「別に。何もしてないけど。ああ、でも、ボクがかけた呪いを解いておいたよ。」
「呪い?!」
「海に会えばわかるんじゃない?」
ボクがそう言うと、陸は走って海の家の玄関をあける。
本当は、昔からわかってた。
海は子どものころから、陸のことが好きだった。
それを“恋”と自覚する前に、ボクが自分の彼女にして、ボクしか好きになったらいけない、思い込みの呪いをかけて縛り付けたんだ。
でも、もう、おしまい。
ボクには、新しい恋人…ボクを応援してくれるファンがたくさんいるから。
その、ひとりひとりに幸せを提供するのが、ボクの仕事。
アイドルになろうとしてるのに、一人の女の子しか相手できないような陸には負けないよ。